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[北海道]                                 H30.5.31
・゚・*:.。..。.:*・゜゚・*:.。..。.:*・゚* Andante **・゜゚・*:.。..。.:*・゚・*:.。  Vol.107
              〜北海道の自殺対策について〜

 Hokkaido                  発行:北海道地域自殺対策推進センター
 Government                 (北海道立精神保健福祉センター内)
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※『Andante:アンダンテ』とは
「ゆっくりと歩くくらいの速さで」という意味の音楽用語です。ゆっくりと自分にとって
適度なスピードで歩いているとき、私達の視野はいつもよりぐっと広がり、忙しく過ごす
中では見過ごしがちなものに気が付くことがあります。北海道地域自殺対策推進センター
では、皆さんと共に歩いていけるような「Andante」を配信していきたいと考えています
。
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− 目 次 −
【1】 北海道における自殺の現状
◇ 平成30年4月末の自殺者数(暫定値)[警察庁]
◇ 平成29年中の年齢別自殺者数(確定値) [警察庁]
【2】 自殺について知ろう
◇ NOCOMIT-Jについて(1)
【3】 お知らせ
◇ こころの電話相談
◇ HP及び携帯HPをご覧ください
【4】 編集後記
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【1】北海道における自殺の現状

【1】北海道における自殺の現状

◇平成30年4月末の自殺者数(暫定値)[警察庁]◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
警察庁より平成30年4月末の月別自殺者数の暫定値が発表されました。
平成30年4月の北海道の自殺者数は73人でした。また、全国の自殺者数は1,753人、
そのうち男性は1,195人、女性は558人でした。
以下に、北海道および全国の前月比と前年同月比の自殺者数を示します。

1.平成30年4月末と平成30年3月末の月別自殺者数の比較        (単位:人)
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        北海道   全国    全国(男性) 全国(女性)
H30年4月   73    1,753     1,195     558
H30年3月   97    1,966     1,413     553
前  月  比   -24     -213      -218       +5
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平成30年4月の自殺者数は、前月比で北海道、全国、全国男性において減少し、全国女性
において増加しました。
都道府県別では、自殺者数が増加したのは13、減少したのは31、変化なしは3でした。

2. 平成30年4月末と平成29年4月末の月別自殺者数の比較       (単位:人)
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
        北海道   全国    全国(男性) 全国(女性)
H30年4月   73    1,753     1,195     558
H29年4月   79    1,940     1,335     605
前 年 比   -6     -187      -140     -47
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
前年同月比では、北海道、全国、全国男性、全国女性のすべてにおいて減少しました。
また、都道府県別でみると、自殺者数が増加したのは12、減少したのは32、変化なしは3
でした。

◇平成29年中の年齢別自殺者数(確定値) [警察庁]◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
今月は先月に引き続き警察庁『平成29年中における自殺の概況』(確定値)および厚生労
働省「地域における自殺の基礎資料」(発見日・発見地集計)より、全国における年齢階
級別自殺者数、と北海道における男女別年齢階級別自殺者数をまとめます。表中()内は
前年比です。

1.全国における年齢別自殺者数、および前年比(単位:人)
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
全国総数21,321人(−3%)
19歳 以下 567人(+9%)20〜29歳 2,213人(-1%) 30〜39歳 2,703人(-4%)
40〜49歳 3,668人(-2%)     50〜59歳 3,593人(-1%)    60〜69歳 3,339人(-8%)
70〜79歳 2,926人(-2%)     80歳 以上2,256人(0%)       不    詳   56人(-27%)
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

全国における平成29年中の自殺者数は21,321人でした。前年に比べ、総数では減少傾向に
ありますが、19歳以下の増加がみられます。

2.北海道における男女別年齢階級別自殺者数、および前年比(単位:人)
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
北海道総数<総数1,001人(  0%)  男性679人(- 5%)  女性322人(+11%)>
19歳 以下 <総数    29人(+38%)  男性   23人(+44%)  女性   6人(+20%)>
20〜29歳  <総数  100人(-12%)  男性  67人(-17%)   女性  33人(+ 3%)>
30〜39歳  <総数  120人(- 9%)   男性  88人(-13%)  女性  32人(+ 3%) >
40〜49歳   <総数  178人(+ 4%)  男性 126人(- 7%)   女性  52人(+49%)>
50〜59歳  <総数  159人(- 9%)   男性121人(- 7%)   女性  38人(-16%) >
60〜69歳  <総数  159人(+ 4%)  男性104人(- 6%)   女性  55人(+31%)>
70〜79歳  <総数  142人(+10%) 男性  90人(+ 7%)   女性  52人(+16%)>
80歳以上  <総数  112人(+ 8%)  男性  59人(+20%)  女性  53人(- 4%) >
不       詳     <総数    2人(-67%)  男性   1人(-83%)   女性   1人( − )>
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

北海道における平成29年中の自殺者数は1,001人でした。そのうち男性は679人、女性は32
2人でした。平成28年と比べ、3人の減少でした。総数で見ると、女性の増加傾向にあるこ
とがわかります。不詳を除いた年齢階級別にみると、前年に比べ、19歳以下の増加が特に
目立っています。男女別に見ると、男性は20歳〜69歳で減少傾向にありますが、女性は40
~49歳、60~69歳で大きく増加しています。

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【2】自殺について知ろう

◇NOCOMIT-Jについて(1)◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
自殺対策として、平成18年に自殺対策基本法が制定され、平成19年に閣議決定、そして平
成24年に見直された自殺総合対策大綱(29年見直し)は、「誰も自殺に追い込まれることの
ない社会」の実現を目指してさまざまな取り組みをしてきました。その結果、年々減少傾
向にはありますが、依然、毎年多くの方が自死を選択しているという非常事態は続いてい
る状態です。
今回は、実際に自殺対策の取り組みのひとつとして研究・実施されているNOCOMIT-Jにつ
いて数回に分けて紹介していきたいと思います。

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<NOCOMIT-Jとは>
「NOCOMIT-J 複合的自殺対策プログラムの自殺企図予防に関する地域介入研究」は、
厚生労働科学研究費補助金による大型研究事業「J-MISP〜自殺対策のための戦略研究〜」
のひとつであり、それまで各地で行われてきた自殺対策に関わる介入の効果を科学的に検
証することを目的とした研究です。以前Andante vol.82・vol.94で紹介した「ACTION-J」
とともに二本柱のひとつとして実施されてきました。
NOCOMIT-Jでは、自殺死亡率が長年にわたって高率な地域において一次、二次、三次予防
までの様々な自殺対策を組み合わせた新しい複合的自殺対策プログラムを介入地区で実施
し、通常の自殺予防対策を行う対照地区と比較して自殺企図の発生に効果があるかどうか
を研究しています。

<複合的自殺対策プログラムの概要>
困難を抱えた人々が未然に自殺を思いとどまり、よりよい生活に向けて再び希望を見いだ
す、また、周囲に援助を求めやすく、ニーズに合ったさまざまな支援を受けることができ
るような地域づくりを行います。従来の考えにとらわれることなく、地域のデータを見返
り検討して、その地域にあった独自のプログラムを作ることが重要です。
複合的自殺対策プログラムは、まず、関係部署・期間等のネットワーク会議、心の健康づ
くり連絡会を設置することで、自殺対策のための地域の基盤を構築します。複合的・総合
的な自殺対策を進めるために、自殺対策が地域の課題であるという認識を持ち、部門を越
えた協力体制を形成し、当事者意識をもって自殺対策に主体的に取り組むことができる体
制を確立します。そこから、@社会システムへのアプローチ、A一次予防(住民全体への
アプローチ)、B二次予防(ハイリスク者へのアプローチ)、C三次予防(自死遺族への
アプローチ)と大きく4つに分けられる対策を実施していきます。これらを実施すること
で、自殺対策としてだけではなく、地域の社会づくりとしての役割もあります。
また、地域介入には人材育成も大切な課題となっています。地域住民と、保健所などの地
区の拠点・地域の医療機関・町内会などの地域活動との接点が、地域に横の連携の広がり
と深まりを促進し、暮らしやすい地域の実現・周囲の人々の行動変容・自死を選択しない
という行動変容に繋がっていくという構造を目指しています。

<介入の基本的な達成目標>
@教育的目標:
住民が自分自身の変調に気づき、支援機関がかかわるようにする
Aプロセス的目標:
危機的な状況にある人が専門家に相談でき、周囲からの適切な支援を求められるようにす
る
B行動的目標:
住民が相互に連携し、ストレスフルな状況で相談したり支援を求めたりできるようにする
C健康アウトカムに関する目標:
住民が心の健康を維持し生きがいを持つことを通じて自殺率を下げる

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今回は、NOCOMIT-Jの概要、達成目標について紹介しました。次回は、対策としてどのよ
うなものがあるのか、具体例を紹介していきたいと思います。

引用文献
大野裕(2015)「自殺対策の効果と、その評価(3)−複合的自殺対策プログラムの自殺企
図予防効果に関する地域介入研究NOCOMIT-J」,本橋豊編,『よくわかる自殺対策』,24-28,
ぎょうせい.
大野裕(2010)『NOCOMIT-J−地域における自殺対策プログラム』.


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【3】お知らせ

◇ 精神保健福祉センターでは、こころの電話相談を次の時間帯で行っています。
月曜から金曜日                9:00〜21:00
土曜日曜祝日(12月29日〜1月3日を除く)   10:00〜16:00
Tel:0570-064-556
※ご相談の電話が集中しますと、つながりづらい状態になりますがご了承ください。

◇ HP・携帯版HPをご覧ください
北海道地域自殺対策推進センターのHPを開設しています。最新の北海道の状況を掲載して
おり、より情報を見やすく、分かりやすくお伝えできるよう心がけています。
パソコンHP  URL:http://www.pref.hokkaido.lg.jp/hf/sfc/jisatutaisaku.htm

また、携帯電話で見ることができる携帯版HPも開設しています。警察庁および北海道警察
から公表された統計資料をもとに、北海道における自殺の状況を掲載しています。こちら
も併せてご覧ください。
携帯HP  URL:http://www.pref.hokkaido.lg.jp/hf/sfc/i/joukyou.htm

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【4】編集後記

皆様、こんにちは。
まだ風の冷たい日もありますが、25度を超える日もあり、少しずつ夏も近づいてきている
と感じます。これから風の心地よい季節になっていきますね。寒暖差が大きい日が続いて
いますので、体調など崩さないようお気をつけてください。
今回のAndanteは新任が担当しました。まだ不慣れな部分もありますが、皆様のお役に立
てる情報を提供していけるよう、頑張っていきます。今後もどうぞよろしくお願いいたし
ます。

いつもご愛読ありがとうございます。
次号Vol.108は、2018年6月末に配信予定です。

                                                        *お問い合わせ先* 
                                                北海道立精神保健福祉センター
                                               札幌市白石区本通16丁目北6番34号
                                                              Tel 011-864-7121
                                                              Fax 011-864-9546
                                    URL  http://www.pref.hokkaido.lg.jp/hf/sfc/
                                    Mail   hofuku.seishin1@pref.hokkaido.lg.jp