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[北海道]                                 H30.8.31
・゚・*:.。..。.:*・゜゚・*:.。..。.:*・゚* Andante **・゜゚・*:.。..。.:*・゚・*:.。  Vol.110
              〜北海道の自殺対策について〜

 Hokkaido                  発行:北海道地域自殺対策推進センター
 Government                 (北海道立精神保健福祉センター内)
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※『Andante:アンダンテ』とは
「ゆっくりと歩くくらいの速さで」という意味の音楽用語です。ゆっくりと自分にとって
適度なスピードで歩いているとき、私達の視野はいつもよりぐっと広がり、忙しく過ごす
中では見過ごしがちなものに気が付くことがあります。北海道地域自殺対策推進センター
では、皆さんと共に歩いていけるような「Andante」を配信していきたいと考えています
。
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− 目 次 −
【1】 北海道における自殺の現状
◇ 平成30年7月末の自殺者数(暫定値)[警察庁発表]
◇ 平成29年度「過労死等の労災補償状況」[厚生労働省]
【2】 自殺について知ろう
◇ 第三期北海道自殺対策行動計画について
【3】 お知らせ
◇ こころの電話相談
◇ HP及び携帯HPをご覧ください
【4】 編集後記
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【1】北海道における自殺の現状

◇平成30年7月末の自殺者数(暫定値)[警察庁発表]◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
警察庁より平成30年7月末の月別自殺者数の暫定値が発表されました。
平成30年7月の北海道の自殺者数は87人でした。また、全国の自殺者数は1,665人、そのう
ち男性は1,138人、女性は527人でした。
以下に、北海道および全国の前月比と前年同月比の自殺者数を示します。

1.平成30年7月末と平成30年6月末の月別自殺者数の比較 (単位:人)
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H30年7月<北海道  87人、全国 1,665人、全国(男性) 1,138人、全国(女性)  527人>
H30年6月<北海道  88人、全国 1,716人、全国(男性) 1,175人、全国(女性)  541人>
前 月 比 <北海道  -1人、全国  -51人、全国(男性)  -37人、全国(女性)  -14人>
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平成30年7月の自殺者数は、前月比では北海道・全国・全国男性・全国女性において減少
でした。都道府県別では、自殺者数が増加したのは19、減少したのは24、変化なしは4で
した。

2. 平成30年7月末と平成29年7月末の月別自殺者数の比較 (単位:人)
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H30年7月 <北海道  87人、全国 1,665人、全国(男性) 1,138人、全国(女性) 527人>
H29年7月 <北海道  95人、全国 1,837人、全国(男性) 1,262人、全国(女性) 575人>
前 年 比 <北海道  -8人、全国 -172人、全国(男性) -124人、全国(女性) -48人>
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前年同月比では、北海道・全国・全国男性・全国女性において減少でした。また、都道府
県別でみると、自殺者数が増加したのは17、減少したのは30、増減なしは0でした。

◇平成29年度「過労死等の労災補償状況」[厚生労働省]◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
厚生労働省は今年7月に平成29年度「過労死等の労災補償状況」を公表しました。これは
、過重な仕事が原因で発症した脳・心臓疾患や、仕事による強いストレスなどが原因で発
病した精神障害の状況について、平成14年から、労災請求件数や、「業務上疾病」と認定
し、労災保険給付を決定した支給決定件数などを年1回、取りまとめているものです。
自殺については、平成11年の通達により「業務上の精神障害によって、正常の認識、行為
選択能力が著しく阻害され、又は自殺行為を思いとどまる精神的な抑制力が著しく阻害さ
れている状態で自殺が行われたと認められる場合」に業務上の死亡と認められるようにな
りました。

平成29年度は精神障害の労災認定件数が506件(前年度比8件増)と過去最多であった昨年
よりさらに多い結果となりました。この中には自殺と自殺未遂が98件含まれ、こちらは前
年度比14件増となりました。北海道では労災認定件数が35件で前年比2件減、うち自殺と
自殺未遂は9件で昨年と同数でした。
自殺と自殺未遂の内訳は公表されていないので、ここでは自殺と未遂を合わせた98件につ
いて、詳しく見ていきたいと思います。精神障害の発症原因とされる具体的な出来事につ
いて目立つものをあげると、「仕事内容・仕事量の(大きな)変化を生じさせる出来事が
あった」が21件と最も多く、次に心理的負荷が極度の特別な出来事が14件、対人関係の「
(ひどい)いやがらせ、いじめ、又は暴行を受けた」が12件、「2週間以上にわたって連
続勤務を行った」が11件、「1か月に80時間以上の時間外労働を行った」が10件となって
います。
年齢別の支給決定件数のうち自殺に関するものは、19歳以下が2件(構成比3%)、20〜29
歳が16件(構成比16%)、30〜39歳が26件(構成比31%)、40〜49歳が36件(構成比26%)
、50〜59歳が15件(構成比23%)、60歳以上が3件(構成比1%)でした。
都道府県別では、東京22件、北海道9件、大阪9件、愛知5件、福岡5件が上位となっていま
す。
時間外労働時間別(1か月平均)は、20時間未満7件、20時間以上〜40時間未満10件、40時
間以上〜60時間未満10件、60時間以上〜80時間未満10件、80時間以上〜100時間未満11件
、100時間以上〜120時間未満12件、120時間以上〜140時間未満10件、140時間以上〜160未
満9件、160時間以上12件、その他7件でした。

平成29年度の精神障害の労災認定件数は過去最多となりました。2015年の大企業での自殺
をきっかけとして働き方改革が謳われ、企業内でのメンタルヘルスチェックなど進められ
てはいますが、まだまだ道半ばといった印象を受けます。職場における自殺予防、メンタ
ルヘルス対策への一層の取り組みが望まれます。

参考文献
厚生労働省 平成29年度「過労死等の労災補償状況」


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【2】自殺について知ろう

◇第三期北海道自殺対策行動計画について◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
日本の自殺は平成10年に急増し、その後14年間3万人を超える状態が続いていました。平
成18年に自殺対策基本法が制定され、それに基づいた様々な対策により平成29年には、21
,321人(警察庁自殺統計)にまで減少しました。しかし、他の先進諸国と比較するといま
だに日本の自殺率は高く、決して楽観できる状況にはありません。北海道においても、国
と同様に減少傾向にありますが、自殺死亡率は全国平均を上回っており、平成29年におい
ても1,001人(警察庁自殺統計)もの方が亡くなられています。
平成18年に制定された「自殺総合対策大綱」を踏まえ、北海道では「自殺のない社会」を
目指し、「第一期北海道自殺対策行動計画」が策定されました。そして、平成25年3月に
は「第二期北海道自殺対策行動計画」を定め、具体的な施策が展開されてきました。平成
30年度からは、これまでの施策の推進状況を踏まえ、国が平成29年7月に見直した「自殺
総合対策大綱」で打ち出した、「いのち支える自殺対策」という基本理念のもと、「誰も
自殺に追い込まれることのない社会」の実現を目指し、「第三期北海道自殺対策行動計画
」が策定されました。

当面の具体的施策
(1) 道民一人ひとりの気づきと見守りを促す
(2) 自殺対策に係る人材の確保、養成及び資質の向上を図る
(3) 心の健康を支援する環境の整備と心の健康づくりを推進する
(4) 適切な精神保健医療福祉サービスを受けられるようにする
(5) 社会全体の自殺リスクを低下させる
(6) 地域の支援体制を整備し、自殺未遂者の再度の自殺企図を防ぐ
(7) 遺された人への支援を充実する
(8) 民間団体との連携を強化する
(9) 地域の特性に応じた施策を推進する
(10)子ども・若者の自殺対策を推進する
(11)勤務問題による自殺対策を推進する

国の自殺総合対策大綱における全国の数値目標は、先進諸国の水準まで減少させることを
目指し、今後10年間で、平成27年と比較し30%以上減少させることとされています。北海
道においても、平成19年から平成28年までの10年間で約33%減少した実績を踏まえ、全国
の数値目標と同様、平成28年と比較して、平成39年までに30%以上減少させることを目標
とされています。
簡単な目標ではないと思いますが、多くの機関が相互に連携・協働し、地域の実情に合っ
た対策を一歩一歩進めていただきたいと思います。

参考文献
『第3期 北海道自殺対策行動計画 平成30年度〜34年度』、2018、北海道保健福祉部福
祉局障がい者保健福祉課
http://www.pref.hokkaido.lg.jp/hf/shf/jisatsutaisaku.htm


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【3】お知らせ

◇ 精神保健福祉センターでは、こころの電話相談を次の時間帯で行っています。
月曜から金曜日                    9:00〜21:00
土曜日曜祝日(12月29日〜1月3日を除く)   10:00〜16:00
Tel:0570-064-556
※ご相談の電話が集中しますと、つながりづらい状態になりますがご了承ください。

◇ HP・携帯版HPをご覧ください
北海道地域自殺対策推進センターのHPを開設しています。最新の北海道の状況を掲載して
おり、より情報を見やすく、分かりやすくお伝えできるよう心がけています。
パソコンHP  URL:http://www.pref.hokkaido.lg.jp/hf/sfc/jisatutaisaku.htm

また、携帯電話で見ることができる携帯版HPも開設しています。警察庁および北海道警察
から公表された統計資料をもとに、北海道における自殺の状況を掲載しています。こちら
も併せてご覧ください。
携帯HP  URL:http://www.pref.hokkaido.lg.jp/hf/sfc/i/joukyou.htm

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【4】編集後記

今年の夏は酷暑で地域によっては40度を越える時期もありました。北海道は一時期30度近
い気温になったものの、最近は少し涼しいくらいの気温となっており比較的すごしやすい
夏だったように思います。
さて、8月から9月にかけては夏休みの時期、そして長期休暇明けのタイミングで自殺が増
えるということも知られています。特に、『平成27年 自殺対策白書』で9月1日18歳以下
の自殺の多さが問題視され、その後9月1日に関連した多くの取組が見られるようになりま
した。それに関して、自殺総合対策推進センターは8月7日公表の「通学適齢期の自殺者数
に関する分析【速報版】」の中でより詳細な分析を報告されています。
自殺総合対策推進センターホームページにて公開されておりますので、興味のある方は御
一読ください。

いつもご愛読ありがとうございます。
次号Vol.111は、2018年9月末に配信予定です。

                                                        *お問い合わせ先* 
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                                                              Fax 011-864-9546
                                    URL  http://www.pref.hokkaido.lg.jp/hf/sfc/
                                    Mail   hofuku.seishin1@pref.hokkaido.lg.jp

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