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[北海道]                                H30.11.30
・゚・*:.。..。.:*・゜゚・*:.。..。.:*・゚* Andante **・゜゚・*:.。..。.:*・゚・*:.。  Vol.113
              〜北海道の自殺対策について〜

 Hokkaido                  発行:北海道地域自殺対策推進センター
 Government                 (北海道立精神保健福祉センター内)
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※『Andante:アンダンテ』とは
「ゆっくりと歩くくらいの速さで」という意味の音楽用語です。ゆっくりと自分にとって
適度なスピードで歩いているとき、私達の視野はいつもよりぐっと広がり、忙しく過ごす
中では見過ごしがちなものに気が付くことがあります。北海道地域自殺対策推進センター
では皆さんと共に歩いていけるような「Andante」を配信していきたいと考えています。
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− 目 次 −
【1】 北海道における自殺の現状
◇ 平成30年10月末の自殺者数(暫定値)[警察庁]
◇ 平成29年北海道における方面別自殺者数(確定値)[厚生労働省]
【2】 自殺について知ろう
◇ 「平成30年版過労死等防止対策白書」より過労自殺に関して[厚生労働省]
【3】 お知らせ
◇ こころの電話相談
◇ HP及び携帯HPをご覧ください
【4】 編集後記
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【1】北海道における自殺の現状

警察庁より平成30年10月末の月別自殺者数の暫定値が発表されました。
平成30年10月の北海道の自殺者数は89人でした。また、全国の自殺者数は1,732人、
そのうち男性は1,199人、女性は533人でした。
以下に、北海道および全国の前月比と前年同月比の自殺者数を示します。

1.平成30年10月末と平成30年9月末の月別自殺者数の比較       (単位:人)
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
        北海道   全国    全国(男性) 全国(女性)
H30年10月   89    1,732     1,199     533
H30年9月    75    1,686     1,146     540
前  月  比    +14     +46      +53      -7
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平成30年10月の自殺者数は、前月比で北海道、全国、全国男性において増加し、全国女性
において減少しました。
都道府県別では、自殺者数が増加したのは26、減少したのは17、変化なしは4でした。

2. 平成30年10月末と平成29年10月末の月別自殺者数の比較       (単位:人)
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
        北海道   全国    全国(男性) 全国(女性)
H30年10月   89    1,732     1,199     533
H29年10月   83    1,642     1,150     492
前 年 比    +6    +90      +49     +41
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
前年同月比では、北海道、全国、全国男性、全国女性のすべてにおいて増加しました。
また、都道府県別でみると、自殺者数が増加したのは30、減少したのは16、変化なしは1
でした。

◇平成29年北海道における方面別自殺者数(確定値)[厚生労働省]◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
今回は、厚生労働省「地域における自殺の基礎資料」の平成29年の発見日・発見地の確定
値データを、警察署管内の方面別に集計したものをご報告します。なお、「札幌方面」は
石狩・胆振・日高全域と深川市・雨竜郡を除く空知および寿都郡・島牧郡を除く後志、「
旭川方面」は上川・宗谷・留萌全域と深川市・雨竜郡、「函館方面」は渡島・檜山全域と
寿都郡・島牧郡、「釧路方面」は釧路・根室・十勝全域、「北見方面」はオホーツク全域
です。

1.平成29年北海道の方面別男女別自殺者数            (単位:人)
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
            総数        男性        女性    
全  道      1,001人(-3)    679人(-35)    322人(+32)
札幌方面     603人(+20)    409人(-4)     194人(+24)
旭川方面     122人(-11)    77人(-23)    45人(+12)
函館方面     99人(+13)     70人(+8)     29人(+5)
釧路方面     114人(-27)    83人(-15)     31人(-12)
北見方面     63人(+2)      40人(-1)     23人(+3)
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
※( )内は前年比(単位:人)

まず全体を見ると、総数では昨年と比較して、3人減少とあまり変化のないように見えま
すが、男性は35人減少、女性は32人増加しており、男女別での変化は大きかったようです
。次に方面別に見ていきます。総数1,001人中、札幌方面の自殺者数が6割を占めますが、
地域の広さと人口の多さの影響もあると考えられます。函館方面では、男性女性共に増加
、釧路方面では男性女性共に減少しています。各方面で男女別を見ると、男性では函館方
面以外の方面では減少、女性では釧路方面以外の方面で増加しています。

2.平成29年北海道の方面別世代別自殺者数            (単位:人)
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         青少年     中高年     高齢者     不詳
全  道   129人(-5)    457人(-21)  413人(+27)   2人(-4)
札幌方面   92人(±0)   295人(+1)   215人(+21)   1人(-2)
旭川方面   9人(-1)    48人(-18)    64人(+9)    1人(-1)
函館方面   7人(-2)     39人(+15)   53人(+1)    0人(-1)
釧路方面   17人(-4)    53人(-12)   44人(-11)    0人(±0)
北見方面   4人(+2)     22人(-7)    37人(+7)    0人(±0)
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
※( )内は前年比(単位:人)

29歳以下を青少年、30歳代から50歳代を中高年、60歳以上を高齢者と分類し、方面別に世
代別の自殺者数を示しました。
全体を見ると、年代別では、高齢者は増加傾向、その他の年代は減少傾向です。特に札幌
方面の高齢者が大きく増加しています。
各方面で年代別に見ると、青少年では、北見方面で2人増加、札幌方面では変化なしでし
たが、その他の方面では減少しています。中高年では、札幌方面では1人、函館方面では1
5人増加していますが、その他では減少しています。高齢者では、釧路方面では11人減少
していますが、その他の方面では増加しています。
平成28年度で全体的に自殺者数が減少傾向にありました。今年度は男女別では女性、年代
別では高齢者の増加が目立ちました。女性、高齢者層への対策が必要と考えられます。

北海道の方面別自殺者数については、北海道地域自殺対策推進センターのHP上に詳しいデ
ータをアップしてありますのでご参照ください。

参考資料:厚生労働省「地域における自殺の基礎資料」

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【2】自殺について知ろう

毎年11月は「過労死等防止啓発月間」です。前回のAndante編集後記でもお伝えしました
が、全国でシンポジウム開催や過重労働解消キャンペーン等、過労防止に関するさまざま
な取組がなされています。先月末に厚生労働省のHPで、過労死等の概要や、政府が過労死
等の防止ために講じた施策の状況がまとめられた「平成30年版過労死等防止対策白書」が
公表されました。今回の「自殺について知ろう」では、その中に載っている勤務問題に関
する自殺について及びメンタルヘルスに関する一部を紹介します。
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まず、平成29年の勤務問題に関する自殺の状況についてです。
平成29年は自殺者数総数が、21,321人に対して勤務問題を原因・動機の1つとするものは1
,991人でした。自殺者数総数が近年減少傾向にあるのに対して、勤務問題を原因・動機の
1つとする自殺者の割合は増加傾向にあり、平成29年は9.3%になっています。
原因・動機の詳細別にみると、勤務問題のうち「仕事疲れ」が約3割を占め、次いで、「
職場の人間関係」が2割強、「仕事の失敗」が2割弱、「職場環境の変化」が1割強となっ
ています。
職業別にみると、「被雇用者・勤め人」が8割以上を占め、次いで、「無職者」、「自営
業者・家族従業者」となっています。
年齢層別にみると、概ね、「40〜49歳」、「50〜59歳」、「30〜39歳」、「20〜29歳」の
順に多く、これらの階層はいずれも、概ね全体の4分の1から5分の1を占めています。

次に、メンタルヘルスについてです。
常用労働者10人以上を雇用する事業所を対象とした調査において、「仕事や職業生活に関
することで、強い不安、悩み、ストレスを感じている労働者の割合」は59.5%となってお
り、依然として半数を超えています。そのうち、「仕事や職業生活に関する強い不安、悩
み、ストレスを感じる」とした労働者は、「仕事の質・量」が53.8%と最も多く、次いで
、「仕事の失敗、責任の発生等」(38.5%)、「対人関係(セクハラ・パワハラを含む)」(30.
5%)となっています。
また、現在の自分の仕事や職業生活でのストレスについて「相談できる人がいる」とした
労働者の割合は91.1%となっており、「相談できる人がいる」とする労働者が挙げた相談
相手は、「家族・友人」(84.4%)が最も多く、次いで、「上司・同僚」(76.0%)となっていま
す。また、家族・友人等を除き、職場に事業外資減(事業場外でメンタルヘルス対策の支
援を行う機関及び専門家)を含めた相談先がある労働者の割合は71.2%となっています。
続いて、メンタルヘルス対策に取り組んでいる事業場ですが、その割合は56.6%といまだ5
割台にとどまっており、規模の小さい事業所ほどその割合が低くなっています。
メンタルヘルスケアに取り組んでいる事業所における取組内容としては、「労働者のスト
レスの状況などについて調査票を用いて調査(ストレスチェック)」が62.3%と最も多く、
次いで、「メンタルヘルス対策に関する労働者の教育研修・情報提供」(38.2%)、「メン
タルヘルスケア対策に関する事業所内での相談体制の整備」(35.5%)となっています。

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今回は、「平成30年版過労死等防止対策白書」の中から自殺に関連する部分についてのみ
お伝えしましたが、全体の概要や今後の目標の詳細について厚生労働省のHPに公表されて
います。また、パンフレット「STOP過労死」にもわかりやすい説明が載っています。是非
ご覧ください。

引用文献
厚生労働省,(2018),「平成30年版過労死等防止対策白書」.

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【3】お知らせ

◇ 精神保健福祉センターでは、こころの電話相談を次の時間帯で行っています。
月曜から金曜日                        9:00〜21:00
土曜日曜祝日(12月29日〜1月3日を除く)       10:00〜16:00
Tel:0570-064-556
※ご相談の電話が集中しますと、つながりづらい状態になりますがご了承ください。

◇ HP・携帯版HPをご覧ください
北海道地域自殺対策推進センターのHPを開設しています。最新の北海道の状況を掲載して
おり、より情報を見やすく、分かりやすくお伝えできるよう心がけています。
パソコンHP  URL:http://www.pref.hokkaido.lg.jp/hf/sfc/jisatutaisaku.htm

また、携帯電話で見ることができる携帯版HPも開設しています。警察庁および北海道警察
から公表された統計資料をもとに、北海道における自殺の状況を掲載しています。こちら
も併せてご覧ください。
携帯HP  URL:http://www.pref.hokkaido.lg.jp/hf/sfc/i/joukyou.htm

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【4】編集後記

今年は初雪の観測が例年より遅く、札幌では128年前の明治23年と並んで最も遅いそうで
す。初雪は遅れましたが、Andanteは毎号遅れずに皆様に配信してきました。今回もなん
とか遅れずにお届けすることができ、ほっとしています。なお、来月のAndanteですが、
本橋豊さん編著の『Q&A自殺対策策定ハンドブック』の内容に触れたいと思います。楽し
みにお待ちください。

いつもご愛読ありがとうございます。
次号Vol.114は、2018年12月末に配信予定です。

                                                        *お問い合わせ先* 
                                                北海道立精神保健福祉センター
                                               札幌市白石区本通16丁目北6番34号
                                                              Tel 011-864-7121
                                                              Fax 011-864-9546
                                    URL  http://www.pref.hokkaido.lg.jp/hf/sfc/
                                    Mail   hofuku.seishin1@pref.hokkaido.lg.jp