========================================================= [北海道] R2.8.31 ・゚・*:.。.:*・゜゚・*:.。..。.:*・゚* Andante **・゜゚・*:.。...:゚・*:.。 Vol.134 〜北海道の自殺対策について〜 Hokkaido 発行:北海道地域自殺対策推進センター Government (北海道立精神保健福祉センター内) ========================================================= ******************************************************************************** ※『Andante:アンダンテ』とは 「ゆっくりと歩くくらいの速さで」という意味の音楽用語です。ゆっくりと自分にとって 適度なスピードで歩いているとき、私達の視野はいつもよりぐっと広がり、忙しく過ごす 中では見過ごしがちなものに気が付くことがあります。北海道地域自殺対策推進センター では皆さんと共に歩いていけるような「Andante」を配信していきたいと考えています。 -------------------------------------------------------------------------------- − 目 次 − 【1】 北海道における自殺の現状 ◇ 令和2年7月末の自殺者数(暫定値)[警察庁] ◇ 令和元年度「過労死等の労災補償状況」[厚生労働省] 【2】 自殺について知ろう ◇ 10代のための支援サービス検索・相談サイトMex(ミークス)について 【3】 お知らせ ◇ こころの電話相談 ◇ HP・携帯版HPをご覧ください 【4】 編集後記 -------------------------------------------------------------------------------- ******************************************************************************** 【1】北海道における自殺の現状 ◇令和2年7月末の自殺者数(暫定値)[警察庁]◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇ 警察庁より令和2年7月末の月別自殺者数の暫定値が発表されました。 令和2年7月の北海道の自殺者数は89人でした。また、全国の自殺者数は1,795人、その うち男性は1,150人、女性は645人でした。 以下に、北海道および全国の前月比と前年同月比の自殺者数を示します。 1. 令和2年7月末と令和2年6月末の月別自殺者数の比較 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 令和2年7月<北海道 89人、全国 1,795人、全国(男性) 1,150人、全国(女性)645人> 令和2年6月<北海道 74人、全国 1,544人、全国(男性) 1,043人、全国(女性)501人> 前 月 比<北海道 +15人、全国 +251人、全国(男性) +107人、全国(女性)+144人> −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 令和2年7月の自殺者数は、前月比では、北海道・全国・全国(男性)・全国(女性)に おいて増加でした。都道府県別では、自殺者数が増加したのは34、減少したのは13、変 化なしは0でした。 2. 令和2年7月末と令和元年7月末の月別自殺者数の比較 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 令和2年7月 <北海道 89人、全国 1,795人、全国(男性) 1,150人、全国(女性)645人> 令和元年7月<北海道 76人、全国 1,793人、全国(男性) 1,230人、全国(女性)563人> 前 年 比 <北海道 +13人、全国 +2人、全国(男性) -80人、全国(女性)+82人> −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 前年同月比では、北海道・全国・全国(女性)において増加、全国(男性)において減 少でした。また、都道府県別でみると、自殺者数が増加したのは19、減少したのは22、増 減なしは6でした。 参考文献 「自殺統計」、警察庁 ◇令和元年度「過労死等の労災補償状況」[厚生労働省]◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇ 厚生労働省は今年7月に令和元年度「過労死等の労災補償状況」を公表しました。この 資料は、過重な仕事が原因で発症した脳・心臓疾患や、仕事による強いストレスなどが原 因で発病した精神障害の状況について、平成14年から、労災請求件数や「業務上疾病」と 認定し労災保険給付を決定した支給決定件数などを年1回、取りまとめているものです。 自殺については、平成11年の通達により「業務上の精神障害によって、正常の認識、行 為選択能力が著しく阻害され、又は自殺行為を思いとどまる精神的な抑制力が著しく阻害 されている状態で自殺が行われたと認められる場合」に業務上の死亡と認められるように なりました。 令和元年度は精神障害の労災認定件数が509件(前年度比44件増加)でした。この中に は自殺と自殺未遂が88件含まれ、こちらは前年度比12件増加となりました。北海道では労 災認定件数が24件で前年度比4件増加、うち自殺と自殺未遂は7件で前年度比4件増加でし た。 自殺と自殺未遂の内訳は公表されていないため、ここでは自殺と未遂を合わせた88件に ついて、詳しく見ていきたいと思います。 精神障害の発症原因とされる具体的な出来事について目立つものをあげると、類型3 「仕事の量・質」において「仕事内容・仕事量の(大きな)変化を生じさせる出来事があ った」が20件と最も多く、次に「2週間以上にわたって連続勤務を行った」が12件、「1か 月に80時間以上の時間外労働を行った」が7件となっています。また、類型5「対人関係」 において「(ひどい)嫌がらせ、いじめ、又は暴行を受けた」が8件、「上司とのトラブ ルがあった」が6件ありました。 年齢別の支給決定件数のうち自殺に関するものは、19歳以下が0件、20〜29歳が16件、 30〜39歳が17件、40〜49歳が36件、50〜59歳が15件、60歳以上が4件でした。 都道府県別では、東京10件、北海道7件、静岡・兵庫5件、埼玉・神奈川・長野・大阪4件 が上位となっています。 時間外労働時間別(1か月平均)は20時間未満8件、20時間以上〜40時間未満5件、40時 間以上〜60時間未満8件、60時間以上〜80時間未満8件、80時間以上〜100時間未満10件、 100時間以上〜120時間未満19件、120時間以上〜140時間未満13件、140時間以上〜160未満 1件、160時間以上7件、その他9件でした。 今回精神障害の労災請求と認定はいずれも1983年度の統計開始以降最多となりました。 また、厚生労働省は令和2年6月から改正労働施策総合推進法を施行しパワーハラスメント の定義が法律上規定されたこと等を踏まえ、認定基準の「業務による心理的負荷評価表」 にパワーハラスメントの項目を追加しました。これにより労働者が労災認定を受けやすく なり、労災の請求件数もより増加する見込みとなっているようです。労働者あるいはご家 族の生活を守るための保険としてより良いものとなることを期待したいと思います。 参考文献 厚生労働省、「令和元年度過労死等の労災補償状況」、2020 ******************************************************************************** 【2】自殺について知ろう ◇10代のための支援サービス検索・相談サイトMex(ミークス)について◇◇◇◇◇◇ 今回は、10代の子ども達が、いち早く、安心して頼れる大人や支援団体とつながるため のツール、「10代のための支援サービス検索・相談サイトMex(ミークス)」についてご 紹介させて頂きます。Mex(ミークス)については『令和元年版自殺対策白書』において もコラム5(p145-p146)として紹介されています。興味のある方は是非そちらも御一読く ださい。 Mex(ミークス)とは 認定NPO法人3keys(スリーキーズ)が、2016年4月虐待・いじめ・こころの問題など、 深刻な悩みを抱えながらも誰にも相談できずにインターネットに駆け込んだ子ども達が、 いち早く、安心して頼れる大人や支援団体とつながれるように立ち上げたポータルサイト です。 主に10代の子ども達がスマートフォンで利用することを想定しています。悩みの種類や 住んでいる地域を入力すること、最適な支援団体・サービスを見つけたり、コンタクト( メールや電話)を取ることができます。また、子ども達が関心を持つテーマのコラムも数 多く掲載しており、抱えている悩みに関する情報を得ることも出来ます。 Mex(ミークス)の機能 Mex(ミークス)のホームページにアクセスすると、@相談先をさがす、Aよみもの、 B動画、C気持ちをはき出す、が選択できます。@では、「暴言・無視・ひいき」、「た たく・殴る」、「性被害・わいせつ」、「こころ・からだ」、「くらし」、「その他」の カテゴリーの中から絞り込みが出来ます。選択後、相談方法の希望や都道府県単位のエリ ア指定をすることで、条件に合った相談連絡先一覧が表示されます。Aは、143件の記事 が掲載されており(2020年8月20日現在)「暴言・無視・ひいき」、「たたく・殴る」、 「性被害・わいせつ」のカテゴリーの中から絞り込むことも出来ます。Bは、14件の動 画(2020年8月20日現在)が掲載されており、Aと同様に絞り込むことも出来ます。Cで は、ホームページ内に悩みを記入する欄が設けられており、そこに悩みや相談先の感想な どを書き込むことが出来るようになっています。ただ、返信は行っていないようです。 Mex(ミークス)の利用状況 2018年度、Mex(ミークス)の利用者数は約28.9万人(2017年度=14.2万人)と前年度 の約2倍でした。また、Mex(ミークス)上にある「メールで相談」「電話で相談」「LINE で相談」などのボタンが押された回数は12,896回(2017年度=4,258回)と前年度の約3倍 となっています。 任意の年齢アンケートでは10代の利用者は67%、その3分の2が16〜19歳(高校生相当) となっています。 認定NPO法人3keys(スリーキーズ)代表理事の森山誉恵氏は、今後に向けて、子ども達 の利用状況などからさらに使い易いサービスとするためカテゴリの見直しやメール・LINE への対応など機能面の改善、掲載されているサービスが関東圏に多くなっているため、そ の他の地域の情報の掲載などを進めて行くとされています。 自殺総合対策大綱の中には、「子ども・若者の自殺対策を更に推進する」として学校に おけるSOSの出し方に関する教育の推進が盛り込まれました。また、平成29年に座間市で 発覚した事件からSNSの悪用に関する注意喚起がなされ、同時にSNSを利用し然るべき支援 機関へとつなげる試みが取組まれています。今回紹介させて頂いたMex(ミークス)も子 ども達を然るべき支援機関につなげることの出来る有用なサービスです。興味のある方は サイトもしくはアプリの方を一度ご閲覧下さい。 参考文献 認定NPO法人3keys(スリーキーズ)、「10代のための相談窓口まとめサイトMex(ミー クス)」、最終更新日:2020年8月18日、HP URL:https://me-x.jp/ 厚生労働省、『令和元年版 自殺対策白書』、2019 ******************************************************************************** 【3】お知らせ ◇ 精神保健福祉センターでは、こころの電話相談を次の時間帯で行っています。 月曜から金曜日 9:00〜21:00 土曜日曜祝日(12月29日〜1月3日を除く) 10:00〜16:00 Tel:0570-064-556 ※ご相談の電話が集中しますと、つながりづらい状態になりますがご了承ください。 ◇ HP・携帯版HPをご覧ください 北海道地域自殺対策推進センターのHPを開設しています。最新の北海道の状況を掲載し ており、より情報を見やすく、分かりやすくお伝えできるよう心がけています。また、An danteのバックナンバーへのリンクもございますので是非ご覧ください。 パソコンHP URL:http://www.pref.hokkaido.lg.jp/hf/sfc/jisatutaisaku.htm また、携帯電話で見ることができる携帯版HPも開設しています。警察庁および北海道警 察から公表された統計資料をもとに、北海道における自殺の状況を掲載しています。こち らも併せてご覧ください。 携帯HP URL:http://www.pref.hokkaido.lg.jp/hf/sfc/i/joukyou.htm ******************************************************************************** 【4】編集後記 今年の札幌の夏は数日30℃を超える日があったものの比較的過ごしやすい季節だったよ うに思います。 さて、例年9月10日から9月16日は、自殺対策基本法第7条第2項において、自殺予防週間 と位置づけられており、同法及び自殺総合対策大綱に掲げる「誰も自殺に追い込まれるこ とのない社会」の実現に向け、相談事業及び啓発活動が実施されています。ですが、今年 度においては新型コロナウイルス感染症の影響により夏期休暇が短縮され、例年よりも早 く学校が始まる地域が多いため、取組を更に前倒しし、夏期休暇中である8月1日〜9月16 日まで実施されています。期間中は、相談支援として、SNS相談事業やこころの健康相談 統一ダイヤルの拡充が行われており、普及啓発活動として、厚生労働省や警察庁、金融庁 などさまざまな団体がポスターの掲示やキャンペーンを行っています。 いつもご愛読ありがとうございます。 次号Vol.135は、令和2年9月末に配信予定です。 *お問い合わせ先* 北海道立精神保健福祉センター 札幌市白石区本通16丁目北6番34号 Tel 011-864-7121 Fax 011-864-9546 URL http://www.pref.hokkaido.lg.jp/hf/sfc/ Mail hofuku.seishin1@pref.hokkaido.lg.jp