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[北海道]                                 R3.11.30
・゚・*:.。.:*・゜゚・*:.。..。.:*・゚* Andante **・゜゚・*:.。...:゚・*:.。  Vol.149
              〜北海道の自殺対策について〜

 Hokkaido                  発行:北海道地域自殺対策推進センター
 Government                 (北海道立精神保健福祉センター内)
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※『Andante:アンダンテ』とは
「ゆっくりと歩くくらいの速さで」という意味の音楽用語です。ゆっくりと自分にとって
適度なスピードで歩いているとき、私達の視野はいつもよりぐっと広がり、忙しく過ごす
中では見過ごしがちなものに気が付くことがあります。北海道地域自殺対策推進センター
では皆さんと共に歩いていけるような「Andante」を配信していきたいと考えています。
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− 目 次 −
【1】 北海道における自殺の現状
◇ 令和3年10月末の自殺者数(暫定値)[警察庁]
◇ こころの電話相談の相談件数について
【2】 自殺について知ろう
◇ 令和3年度 生きることの包括的支援のための基礎研修[いのち支える自殺対策推進
センター]
【3】 お知らせ
◇ こころの電話相談
◇ HPをご覧ください
【4】 編集後記
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【1】北海道における自殺の現状

◇令和3年10月末の自殺者数(暫定値)[警察庁]◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 警察庁より令和3年10月末の月別自殺者数の暫定値が発表されました。
 令和3年10月の北海道の自殺者数は85人でした。また、全国の自殺者数は1,590人、その
うち男性は1,066人、女性は524人でした。
 以下に、北海道および全国の前月比と前年同月比の自殺者数を示します。

1.令和3年10月末と令和3年9月末の月別自殺者数の比較
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令和3年10月<北海道  85人、全国 1,590人、全国(男性) 1,066人、全国(女性)  524人>
令和3年9月<北海道  72人、全国 1,619人、全国(男性) 1,079人、全国(女性)  540人>
前 月 比<北海道  +13人、全国  -29人、全国(男性) -13人、全国(女性) -16人>
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 令和3年10月の自殺者数は、前月比では、北海道において増加、全国、全国(男性)、
全国(女性)において減少でした。都道府県別では、自殺者数が増加したのは21、減少し
たのは24、変化なしは2でした。

2. 令和3年10月末と令和2年10月末の月別自殺者数の比較
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令和3年10月<北海道  85人、全国 1,590人、全国(男性) 1,066人、全国(女性)  524人>
令和2年10月<北海道  98人、全国 2,230人、全国(男性) 1,341人、全国(女性)  889人>
前 年 比<北海道 -13人、全国 -640人、全国(男性) -275人、全国(女性) -365人>
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 前年同月比では、北海道、全国、全国(男性)、全国(女性)において減少でした。ま
た、都道府県別でみると、自殺者数が増加したのは6、減少したのは39、増減なしは2でし
た。

◇こころの電話相談の相談件数について◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
 北海道では、精神保健福祉センターの相談業務の一部として、広く地域住民からの相談
に対応することによりこころの健康づくりを推進するため、こころの電話相談を設置して
います。相談の受付は、月曜日から金曜日が9時から21時、土曜日、日曜日、祝日が10時
から16時(12月29日から1月3日を除く)で、電話番号は0570-064-556となっています。今
回は、こころの電話相談に寄せられた総相談件数及び自殺に関する相談の件数についてご
報告します。

1.令和3年1〜9月における相談件数、自殺関連相談件数
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           合計    日中平日    夜間休日
総相談件数    3,124     1,571     1,553
同期間前年比    +40      +32      +8
自殺関連相談件数  158      101      57
同期間前年比    +60      +32     +28
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2.令和3年における月別相談件数、自殺関連相談件数
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           1月 2月  3月 4月 5月  6月 7月 8月 9月
総相談件数      294 345 387  339 375 339 332  343 370
前  年  比    +55 +70 +56  -6  +48 -29  -88  -24 -42
自殺関連相談件数   15  23   23  14   21  12  20  11   19
前  年  比    +5  +15 +14  +5 +16  +3  +7  -2   -3
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 令和3年1月から9月までの集計を見ると、総相談件数は3,124件、その内自殺関連相談件
数は158件となっています。その内訳は、日中平日が総相談件数1,571件、自殺関連相談件
数101件、夜間休日が総相談件数1,553件、自殺関連相談件数57件となっています。月別に
見ると、総相談件数では、3月と5月、9月に多くの相談があり、逆に1月は少なくなってい
ます。自殺関連相談では、2月と3月に最も多く相談があり、逆に6月と8月は少なくなって
います。
 1月から9月を集計した同期間の前年比を見ると、総相談件数は40件の増加、自殺関連相
談件数は60件の増加となっており、月別に見ると、総相談件数は7月や9月など昨年比減と
なっている月もありますが、自殺関連相談件数は8月と9月にわずかに減少しているだけと
なっています。
 今回は表中に載せておりませんが、新型コロナウイルス感染症の影響がなかった令和元
年からの流れをみると、総相談件数は令和2年の6月から増加傾向となったものの、現在は
令和元年程度の水準に戻ってきています。しかし、自殺関連相談件数は令和2年9月の増加
以降現在まで高止まりの状態が続いています。これらの増加傾向は、新型コロナウイルス
感染症による直接的な影響というよりも、それの流行による生活の変化からくるストレス
や報道等による不安感といった間接的な影響によるもの、あるいは相談先の周知が進んだ
ためといったことが考えられますが、依然として、自殺関連の相談が高止まりの状態で続
いていることには気を向けておいた方がいいように思われます。

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【2】自殺について知ろう

◇令和3年度 生きることの包括的支援のための基礎研修[いのち支える自殺対策推進セ
ンター]◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
 厚生労働大臣指定法人いのち支える自殺対策推進センター(以下、JSCP)は、自殺対策
関係者向けに各種様々な研修会を主催しています。その中でも日本の自殺対策に関する基
礎的な研修として、全6回開催予定の「生きることの包括的支援のための基礎研修」があ
ります。2021年9月17日、都道府県や市町村の自殺対策担当者・関係者を対象として「第1
回生きることの包括的支援のための基礎研修」がオンラインで開催され、約400人が参加
しました。今回は、この「第1回 生きることの包括的支援のための基礎研修」について
ご報告します。

 「生きることの包括的支援について(総論)」と題した講演でJSCP代表理事の清水氏
は、「『生きることの包括的支援』は、自殺対策を総合的に進める上で最も重要なキーワ
ード」として、以下の3点について詳しく説明されました。
1.現代日本社会における自殺の捉え方(自殺問題を正確に見立てるには)
○ 自殺は、その多くが「追い込まれた末の死」
○ 増え続ける(減ることがない)「自殺者数」
  1年ごとに区切り前年比でみて増加や減少について触れることはあるが、本質的にい
  うと、1日1日自殺で亡くなっている人が積み重なっている事実に変わりはない。亡く
  なった人は生き返らない。
○ 自死遺児「社会的には3万人の1人でも、私にとってはたった1人の父だった」
○ 異常事態を異常事態として捉え続けること
  年間で2万人以上が自殺で亡くなっている状況を当たり前と捉えないこと

2.「生きることの包括的支援」の考え方、理念、枠組み
○ 多くの命の犠牲の上に獲得された「生きる支援」という理念・武器
  平成18年自殺対策基本法、平成29年自殺総合対策大綱
○ 生きることの阻害要因を減らし、促進要因を増やす
○ 我が国の自殺対策の特徴:三階層自殺対策連動モデル(TISモデル)
  社会制度、地域連携、対人支援の3つのレベルの有機的連動による、総合的な自殺対
  策の推進
○ 誰も自殺に追い込まれることのない「生き心地のよい社会」を目指す
  効果的で効率的な方法は、地域自殺対策計画における基本施策の着実な実践であり、
  「一発逆転ホームラン」はない。「地域におけるネットワークの強化」、「自殺対策
  を支える人材の育成」、「住民への啓発と周知」「生きることの促進要因への支  
  援」、「児童生徒のSOSの出し方に関する教育」を実施。

3.地域において「生きることの包括的支援」をどのように実践すべきか
○ 自殺対策は、地域づくりの絶好の切り口になる
○ 自殺の問題に対応できれば他の様々な問題にも対応できるはず
○ 連携できるか否かで、地域住民の命を守れるか否かが決まる
○ 「誰かのため」が「自分のため」になる、お互い様の社会へ

 最後に、清水氏は「自殺は様々な社会問題が最も深刻化した末に起きており、自殺に対
応できる地域の取り組み・チカラは、他のあらゆる社会問題に対しても有効に機能するこ
と、これまで点で散在していた地域の相談機関や専門家を当事者のニーズに応じつなぎ線
にし、さらに線を紡いで面としたセーフティネットの構築が地域づくりの絶好の切り口と
なること」と話されました。
 本研修について、JSCPによると、「自殺対策は『生きることの包括的支援』として幅広
い分野・領域と連携しながら、自殺に追い込まれることのない地域づくりとして推進する
ものです。『生きることの包括的支援のための基礎研修』は2021年度中に全6回(テーマ
別)の開催を予定しており、地域で『生きることの包括的支援』として自殺対策を推進す
るために必要な『事業企画の立案』や『支援技術の理解』に役立てていただくことを目的
」としています。2回目以降の研修では、様々な現場で「生きることの包括的支援」に取
り組む方々から、地域での実践をご報告いただく予定とのことでしたので、今後も実りの
多い研修会となることを期待したいと思います。

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【3】お知らせ

◇ 精神保健福祉センターでは、こころの電話相談を次の時間帯で行っています。
 月曜から金曜日                        9:00〜21:00
 土曜日曜祝日(12月29日〜1月3日を除く)          10:00〜16:00
 Tel:0570-064-556
 ※ご相談の電話が集中しますと、つながりづらい状態になりますがご了承ください。

◇ ホームページをご覧ください
 北海道地域自殺対策推進センターのホームページを開設しています。最新の北海道の状
況を掲載しており、情報を見やすく、分かりやすくお伝えできるよう心がけています。 
 また、Andanteのバックナンバーへのリンクもございますので是非ご覧ください。
なお、現在北海道精神保健福祉センターのホームページが新バージョンへの移行作業中の
ため、ホームページ内のレイアウトが見づらくなっている場合があること、あらかじめご
了承ください。

 ホームページURL:http://www.pref.hokkaido.lg.jp/hf/sfc/jisatutaisaku.htm

◇ メールマガジンのご登録内容の変更や解約手続きにつきましては、以下のリンクから
行っていただけます。

 北海道のメールマガジンURL:http://www1.hokkaido-jin.jp/mail/magazine/

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【4】編集後記

 北海道では、もうすっかり木々の葉は落ち、すっかり冬仕様となっていますが、毎年こ
の様子を見ると、ふとオー・ヘンリーの「最後の一葉」のお話を思いだし、もの悲しさと
暖かさを感じさせられます。
 さて、自殺に関する話題ですが、厚生労働省の自殺対策のホームページに『令和3年版
自殺対策白書』が掲載されました。今回は、「新型コロナウイルス感染症の感染拡大下の
自殺の動向」なども特集されていますので、興味のある方は是非御一読下さい。

いつもご愛読ありがとうございます。
次号Vol.150は、令和3年12月末に配信予定です。

                                              *ご質問、ご要望等お問い合わせ先*
                                                    北海道立精神保健福祉センター
                                                 札幌市白石区本通16丁目北6番34号
                                                                Tel 011-864-7121
                                                                Fax 011-864-9546
                                      URL http://www.pref.hokkaido.lg.jp/hf/sfc/
                                       Mail hofuku.seishin1@pref.hokkaido.lg.jp