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[北海道]                              H22.11.30
・゚・*:.。..。.:*・゜゚・*:.。..。.:*・゚* Andante **・゜゚・*:.。..。.:*・゚・*:.。. Vol.017
              〜北海道の自殺対策について〜

  Hokkaido                発行:北海道地域自殺予防情報センター
 Government                 (北海道立精神保健福祉センター内)
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※『Andante:アンダンテ』とは
音楽用語で「ゆっくりと歩くくらいの速さで」という意味があります。他者に合わせるの
ではなく、自分なりのペースで歩いていきましょう、という意味が込められています。北
海道地域自殺予防情報センターでは、皆さんと共に歩いていけるような「Andante」を配
信していきたいと考えています。

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− 目 次 −

【1】 北海道の自殺の現状
 ◇ 場所別自殺者数
 ◇ 場所・病院での自殺者
【2】 様々な自殺対策の取り組み
 ◇ 「自殺のない社会づくりネットワーク・ささえあい」
【3】 お知らせ
 ◇ こころの電話相談
 ◇ HP及び携帯HPをご覧ください
【4】 編集後記
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【1】北海道における自殺の現状 

◇ 場所別自殺者数 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
北海道警察の統計による平成21年の道内の自殺者1,599人の自殺場所(21分類)中、不詳
とその他を除いて多い順に10位までを挙げると、自宅(861人・53.8%)、乗り物(192人
・12.0%)、海(湖)河川(85人・5.3%)、山(73人・4.6%)、公園(44人・2.8%)
、勤め先(40人・2.5%)、高層ビル(28人・1.8%)、病院(27人・1.7%)、ホテル・旅
館(16人・1.0%)、鉄道線路(14人・0.9%)、です。

これらより、自宅が半数以上で最も多く、次いで、乗り物、海(湖)河川、山、公園とい
った屋外が多いことが分かります。自宅でなくなる方が最も多いということは第一発見者
が家族となることが多いということでもあります。また、10位までに入った中で、病院は
自殺対策などの危機介入をモニタリングする方法がある場所です。

◇ 場所・病院での自殺者 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
今回は、北海道警察の統計から自殺場所の病院について、自殺者数、手段、自殺時間につ
いて見て行きたいと思います。(平成17年より平成21年のデータを用いますが、年により
公表されている項目が異なるものもあるため、項目により用いるデータの年が異なります
)

★自殺者数:平成17年:30人   平成18年:28人   平成19年:33人
      平成20年:34人   平成21年:27人(総数152人、年間平均30.4人)

このように、病院での自殺者数が年間平均30.4人で、同年間の全道の自殺者総数の年間平
均1,642人の約1.9%です。

★自殺手段: 平成17年(首つり:17人、飛び降り:11人、刃物:1人、服毒:1人)
      平成18年(首つり:20人、飛び降り:5人、刃物:2人、その他:1人)
      平成19年(首つり:21人、飛び降り:8人、刃物:2人、その他:2人)
(3年間の自殺者数91人の各手段の占める割合:首つり58人・63.7%、飛び降り24人・26.4
%、刃物5人・5.5%、服毒1人・1.1%、その他3人・3.3%)

平成17年から平成19年の北海道警察による自殺手段の分類は「その他・不詳」を含めて
16種類です。このうち、病院では上記の5種類に限られていて、中でも「首つり」が63.7%
と最も多く、次に「飛び降り」が26.4%となっています。首つりと飛び降りを合わせると
90.1%に上ることが分かります。同年間の全道の全ての自殺者(4,885人)の自殺手段では
「首つり」が60.8%、「飛び降り」が7.2%で、合わせ68.0%となっています。

★自殺時間:以下は、平成20年と平成21年の61人について、0時台から23時台に分類し
たものです。
0時(4人)、1時(3人)、2時(5人)、3時(3人)、4時(2人)、5時(7人)、6時(3人
)、7時(2人)、8時(0人)、9時(3人)、10時(0人)、11時(4人)、12時(2人)、1
3時(2人)、14時(1人)、15時(2人)、16時(3人)、17時(1人)、18時(1人)、19
時(2人)、20時(1人)、21時(1人)、22時(4人)、23時(2人)、不詳(2人)

5時台(7人)、2時台(5人)、0時・11時・22時台(4人)の順で多いことがわかります。
上記24時間別の自殺者数を、患者が一人になることが多いと考えられる時間帯・周囲に人
(主にスタッフ)がいる時間帯・周囲に人(スタッフ+面会者等外部の人)がいる時間帯とい
った時間枠とスタッフの勤務時間帯といった時間枠を加味して、(22時台〜7時台)・ (8時
台〜13時台)・(14時台〜21時台)に分けた場合の自殺者数と平成20年と平成21年の全て
の自殺者(3,325人)を同様に分けた場合の数を不詳を除いて以下に記します。

          22時台〜7時台  8時台〜13時台  14時台〜21時台
病院での自殺者:   36人(59.0%)  11人(18.0%)   12人(19.7%)
平成20+平成21
 全ての自殺者: 1,236人(37.2%)  687人(20.7%)  688人(20.7%)

このように、平成20年と平成21年の全ての自殺者の場合は22時台〜7時台の自殺が37.2%で
あるのに対し、病院では59.0%と半数以上がこの時間帯であることがわかります。また、8
時台〜21時台といった人との接触が増すと考えられる時間帯は両者とも20.0%前後と、自
殺者は減少する傾向が見られます。


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【2】様々な自殺対策の取り組み

今回は自殺防止活動を効果的にしていくために、全国の水際活動を支援していくネットワ
ークを構築していく必要があると立ち上げられた「自殺のない社会づくりネットワーク・
ささえあい」を紹介します。
◇「自殺のない社会づくりネットワーク・ささえあい」 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

自殺対策は、法の整備がなされ、様々な活動がおこなわれていますが、自殺者の数はなか
なか減りません。そこで、既遂率の高い自殺未遂者の再度の企図を防ぐことへの取り組み
やこのような社会を生み出している暮らしの場や自分たちの生き方を見つめなおし、安心
・安全・自立と自律ができる社会の仕組みづくりが必要ではないかと、「自殺のない社会
づくりネットワーク・ささえあい」は平成21年10月に立ち上げられました。ネットワーク
には、水際でいのちを救助し、その後の「人生再出発」のための支援をしている人や、「
大きな福祉」を理念にさまざまな分野のボランティアグループ等をつなぎ活動をささえて
いる人、医療現場での自殺企図や不幸にも自殺で亡くなられた人のケアを行ってきた人達
が集まりました。活動には、自殺を考えた体験者との語る会や全国自殺多発場所に関する
自治体アンケート調査、自殺多発場所視察、交流会、シェルター・ネットワークなどがあ
ります。             (平成22年版 内閣府 自殺対策白書より抜粋)

ネットワークには、福井県・東尋坊の「NPO法人 心に響く文集・編集局」、和歌山県・白
浜町の「NPO法人 白浜レスキューネットワーク」、北海道から鹿児島までの23都道府県と
米ハワイ1ヵ所を含む計40ヵ所のお寺を相談窓口とする「NPO法人 自殺防止ネットワーク
風」、群馬県桐生市の「対話の会」、大きな福祉・コミュニティケア・共創型相互支援の
輪をキーワードとして活動を続ける「コムケアセンター」等が参加しています。


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【3】お知らせ

◇ 精神保健福祉センターでは、こころの電話相談を次の時間帯で受け付けています。
月曜日から金曜日                  9:00〜21:00
土曜日曜祝日(12月29日〜1月3日を除く)       10:00〜16:00
                                                                Tel:0570-064556
 ※ご相談の電話が集中しますとつながりづらい状態になりますが、ご了承ください。
 なお、札幌市民の方は上記番号では接続されませんので、札幌こころのセンター(札幌
 市精神保健福祉センター)の相談をご利用ください。
                                Tel:011-622-0556
    
                               
◇ HP・携帯版HPをご覧ください
北海道地域自殺予防情報センターのHPを設置しています。最新の北海道の状況を掲載して
おり、より情報を見やすく、分かりやすくなるよう心がけています。
また、携帯電話で見られる携帯版HPも設置しています。うつ病や依存症、借金問題につい
ての知識をはじめ、「死にたい」と相談されたときの対応の方法についての情報をQ&A形
式で紹介しています。ぜひご覧ください。
      PC版HP  URL:http://www.pref.hokkaido.lg.jp/hf/sfc/jisatutaisaku.htm
     携帯版HP  URL:http://www.pref.hokkaido.lg.jp/hf/sfc/i/


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【4】編集後記

北海道の自殺対策に生かしていただくことを目的に、今年度8回企画しましたゲートキー
パー研修も今月の登別市をもって終了しました。様々な分野で、相談・支援等の業務に携
わっておられる多くの方々に参加していただき、支援技術等を学んでいただきました。
早いもので、間もなく師走、北海道は本格的な雪のシーズンに入っていきますね。皆さん
体調を崩さないようにお過ごしください。

次回Vol.18は2010年12月末に配信予定です。

                               *お問い合わせ先*
                          北海道立精神保健福祉センター
                        札幌市白石区本通16丁目北6番34号
                                Tel 011-864-7121
                                Fax 011-864-9546
                  URL http://www.pref.hokkaido.lg.jp/ hf/sfc/
                  Mail hofuku.seishin1@pref.hokkaido.lg.jp