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[北海道]                               H24.3.30
・゚・*:.。..。.:*・゜゚・*:.。..。.:*・゚* Andante **・゜゚・*:.。..。.:*・゚・*:.。  Vol.033
              〜北海道の自殺対策について〜

 Hokkaido                 発行:北海道地域自殺予防情報センター
 Government                 (北海道立精神保健福祉センター内)
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※『Andante:アンダンテ』とは
音楽用語で「ゆっくりと歩くくらいの速さで」という意味があります。他者に合わせるの
ではなく、自分なりのペースで歩いていきましょう、という意味が込められています。北
海道地域自殺予防情報センターでは、皆さんと共に歩いていけるような「Andante」を配
信していきたいと考えています。


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− 目 次 −
【1】 北海道における自殺の現状
◇ 平成24年2月末の自殺者数(暫定値)[警察庁発表]
◇ 平成23年中における自殺の状況[内閣府・警察庁発表]
【2】 自殺について知ろう
◇ アメリカ合衆国の自殺について
【3】 お知らせ
◇ こころの電話相談
◇ HP及び携帯HPをご覧ください
【4】 編集後記

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【1】北海道における自殺の現状

◇ 平成24年2月末の自殺者数(暫定値)[警察庁発表] ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
警察庁より平成24年2月末の月別自殺者数の暫定値が発表されました。
以下に、北海道および全国の前月比と前年同月比の自殺者数を示します。

1.平成24年2月末と平成24年1月末の月別自殺者数の比較 (単位:人)
                   北海道        総数(全国)      男性(全国)   女性(全国)
平成24年2月           92           2,118           1,482         636
平成24年1月        105           2,248           1,581         667
増減                 -13            -130             -99         -31

平成24年2月末の自殺者数は、前月比において北海道、全国ともに減少となりました。ま
た都道府県別でみると、自殺者数が増加したのは15、減少したのは28、増減なしは4でし
た。

2. 平成24年2月末と平成23年2月末の月別自殺者数の比較 (単位:人)
                   北海道        総数(全国)      男性(全国)   女性(全国)
平成24年2月         92           2,118           1,482          636
平成23年2月         95           2,151      1,496          655
増減          -3             -33         -14          -19

前年同月比においても、北海道、全国ともに減少となりました。また、都道府県別でみる
と、自殺者数が増加したのは23、減少したのは23、増減なしは1でした。

◇ 平成23年中における自殺の状況[内閣府・警察庁発表] ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
1.総数
平成23年中における自殺者数は30,651人で、前年に比べ1,039人(3.3%)減少しました。性
別では、男性が20,955人で全体の68.4%を占めました。

2.年齢別状況
「60歳代」が5,547人で全体の18.1%を占め、次いで「50歳代」(5,375人、17.5%)、「40歳
代」(5,053人、16.5%)、「30歳代」(4,455人、14.5%)の順となりました。

3.職業別
「無職者」が18,074人で全体の59.0%を占めて最も多く、次いで「被雇用者・勤め人」
(8,207人、26.8%)、「自営業・家族従業者」(2,689人、8.8%)、「学生・生徒等」(1,029
人、3.4%)の順となっており、この順位は前年と同じ結果となりました。

4.原因・動機別状況
原因・動機が明らかなもののうち、その原因・動機が「健康問題」にあるものが14,621人
で最も多く、次いで「経済・生活問題」(6,406人)、「家庭問題」(4,547人)、「勤務問題
」(2,689人)の順となっており、この順位は前年と同じ結果となりました。

注)平成19年に自殺統計原票を改正し、遺書等の自殺を裏付ける資料により明らかに推定
できる原因・動機を3つまで計上することとしたため、原因・動機特定者の原因・動機別
の和と原因・動機特定者数(22,581人)とは一致しません。

「平成23年中における自殺の概要」より引用

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【2】自殺について知ろう

世界では年間約100万人の人々が自らその尊い命を絶っています。これは40秒毎に1人の方
が世界のどこかで自死していることを意味します。日本だけではなく、他の多くの国でも
自殺はとても深刻な社会問題であり、各国でさまざまな対策が進められています。
今回は、アメリカ合衆国(以下、米国)の自殺の現状と自殺対策についてお伝えします。

◇ 米国の自殺について ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
1.米国における自殺の現状
米国における自殺死亡者数は年間約3万人で、自殺企図者は年間50万人とも言われていま
す。自殺死亡率は11.0前後で推移しており、国際的に見ると自殺死亡率の高い国ではあり
ません。しかし、多民族国家であり、貧富の差が大きく、銃器を入手しやすいなどの特性
が自殺の実態に影響しています。ネイティヴアメリカンやアラスカ先住民の自殺死亡率が
高く、自殺手段としては銃器によるものが自殺全体の57%を占めているという特徴もあり
ます。また、20歳代の若者の自殺死亡率が高いことも特徴のひとつです。最近では、黒人
男性の自殺率の上昇が問題視されています。
全米における自殺の死因順位は第11位(男性第7位、女性第11位)で、自殺による死亡は全
死亡数の約1%を占めます。自殺者数を性別でみると男性が女性の約4倍となっています。
年齢階級別における死因順位は、15〜24歳で第3位、25〜44歳で第4位です。また、15〜
19歳における自殺者数は、男子が女子の約5倍、20〜24歳においては男性が女性の約6倍で
あったとする報告もあります。さらに、18歳以上の自殺関連行動の内訳を10万人対でみる
と、自殺15.2、自殺未遂のための入院86.0、自殺未遂のための救急部受診140.6でした。
また、自殺既遂者の30〜40%は自殺企図の経験があることも明らかにされており、なかで
も深刻な自殺念慮、自殺の計画、自殺企図は18〜29歳が30歳代以上より危険度が高いこと
もわかっています。
米国においては、物質濫用も自殺の危険要因の大きな鍵を握っています。自殺をする人の
半分は、物質濫用に関係している可能性があり、そのうちの約20%はアルコール問題のあ
る人で、アルコール問題のある人が自殺をする割合は、そうでない人の3〜4倍といわれて
います。また、自殺既遂者はうつやアルコール依存のある45歳以上の男性に多いことがわ
かっています。

2.米国の自殺対策
米国は、1958年にアメリカ公衆衛生局の財政援助を受けて、ロサンゼルスに自殺予防セン
ターが開設されたことを皮切りに各地に自殺予防センターが設立され、これらを基点に多
くのボランティア活動が開始されました。また、早くから国立精神保健研究所自殺予防研
究センターを中心とした実態調査や、CDC(Center for Disease Control and Prevention)
によるメディアの自殺報道に関する問題提起が行われてきました。1990年代に入ってから
開始された「Healthy People 2000」をもとに、様々な対策が実施されましたが、国家と
して体系的に対策を進めるものではありませんでした。しかし、1993年カルガリーにおけ
るWHOの専門家会議、さらに1996年にWHOから「自殺予防:国家戦略の作成と実施のための
ガイドライン」が公表されたことなどにより、ボランティアで自殺予防活動をしていた民
間団体が政策担当者や研究者と連携することへ大きな影響を与え、公民連携による国家的
な自殺対策への志気が高まりました。
2001年から開始された「Healthy People 2010」は国家自殺予防戦略としての特徴を持っ
ており、そのなかで自殺死亡率を11.3から5.0に低下させ、学校に在籍する生徒の自殺未
遂率を2.6%から1%に減少させるという目標が設定されています。自殺だけでなく、自傷
行為をはじめとする自殺関連行動の減少も重要な目標として明言している点が特徴です。
こうした目標の実現のために、銃器や薬品などの自殺手段へのアクセス制限や若者の薬物
乱用の早期発見と治療への尽力という点に、アメリカの文化的・社会的状況が反映されて
いると思われます。全集団、リスク集団、ハイリスクな特定個人という3つの介入対象に
ついて、介入すべき生物学的・心理社会的リスク要因、環境リスク要因、社会文化的リス
ク要因ごとに、効率的な介入計画を策定しており、そこには、学校における自殺予防教育
やアメリカ空軍における対策などの興味深い取組も含まれています。

引用資料:内閣府「平成19年版 自殺対策白書」より一部抜粋
参考資料およびHP:文部科学省「平成22年度児童生徒の自殺予防に関する調査研究協力者
会議 審議のまとめ」、CDC(Center for Disease Control and Prevention)、Healthy Pe
ople.gov、National Strategy for Suicide Prevention 2009、NIMH(National Institute
 to Mental Health)、WHO(World Health Organization) Suicide Prevention(SUPRE)

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【3】お知らせ

◇ 精神保健福祉センターでは、こころの電話相談を次の時間帯で受け付けています。
月曜日から金曜日                      9:00〜21:00
土曜日曜祝日(12月29日〜1月3日を除く)        10:00〜16:00
                                Tel:0570-064556
※ご相談の電話が集中しますとつながりづらい状態になりますが、ご了承ください。

◇ HP・携帯版HPをご覧ください
北海道地域自殺予防情報センターのHPを設置しています。最新の北海道の状況を掲載して
おり、より情報を見やすく、分かりやすくなるよう心がけています。
また、携帯電話で見られる携帯版HPも設置しています。うつ病や依存症、借金問題につい
ての知識をはじめ、「死にたい」と相談されたときの対応の方法についての情報をQ&A形
式で紹介しています。ぜひご覧ください。
           PC版HP  URL:http://www.pref.hokkaido.lg.jp/hf/sfc/jisatutaisaku.htm
         携帯版HP  URL:http://www.pref.hokkaido.lg.jp/hf/sfc/i/joukyou.htm


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【4】編集後記

昨年3月11日の東日本大震災から1年が経ちました。改めて、亡くなられた方々のご冥福を
お祈り致しますとともに、被災されている方々へ心よりお見舞いを申し上げます。
あの日から1年以上が経った今も、具体的な復興の目処が立っていない状況と報道されて
います。それでも前へと進む方々のお姿を見聞きし、底知れぬ力強さを感じます。生活再
建、ふるさとの復興への道を一歩ずつ一歩ずつ歩んでいきましょう。

北海道内では、記録的な積雪や最低気温の記録更新を観測したというニュースが多く聞か
れた今冬ですが、三寒四温を繰り返しながら、やっと春への歩みを感じます。寒さ厳しい
冬ではありましたが、札幌は例年に比べ日照時間が長かったそうです。
さて、早いもので平成23年度も終りを迎えました。皆様に支えられ今年度最後のAndante
を無事に配信することができました。本当にありがとうございました。
平成24年度も「Andante」をご愛読いただきますよう、宜しくお願い申し上げます。

次号Vol.34は、平成24年4月末に配信予定です。

                               *お問い合わせ先*
                          北海道立精神保健福祉センター
                        札幌市白石区本通16丁目北6番34号
                                Tel 011-864-7121
                                Fax 011-864-9546
                  URL http://www.pref.hokkaido.lg.jp/ hf/sfc/
                  Mail hofuku.seishin1@pref.hokkaido.lg.jp