=============================================================================== [北海道] H26.5.30 ・゚・*:.。..。.:*・゜゚・*:.。..。.:*・゚* Andante **・゜゚・*:.。..。.:*・゚・*:.。 Vol.059 〜北海道の自殺対策について〜 Hokkaido 発行:北海道地域自殺予防情報センター Government (北海道立精神保健福祉センター内) =============================================================================== ******************************************************************************** ※『Andante:アンダンテ』とは 音楽用語で「ゆっくりと歩くくらいの速さで」という意味があります。他者に合わせるの ではなく、自分なりのペースで歩いていきましょう、という意味が込められています。 北海道地域自殺予防情報センターでは、皆さんと共に歩いていけるような「Andante」を 配信していきたいと考えています。 ******************************************************************************** − 目 次 − 【1】 北海道における自殺の現状 ◇ 平成26年4月末の自殺者数(暫定値)[警察庁発表] ◇ 平成25年職業別自殺者数(確定値)[警察庁発表] 【2】 自殺について知ろう ◇ インターネット上の自殺予告事案への対応 【3】 お知らせ ◇ こころの電話相談 ◇ HP及び携帯HPをご覧ください 【4】 編集後記 ******************************************************************************** 【1】北海道における自殺の現状 ◇平成26年4月末の自殺者数(暫定値)[警察庁発表]◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇ 警察庁より平成26年4月末の月別自殺者数の暫定値が発表されました。 平成26年4月の北海道の自殺者数は100人でした。また、全国の自殺者数は2,203人、その うち男性は1,486人、女性は717人でした。 以下に、北海道および全国の前月比と前年同月比の自殺者数を示します。 1.平成26年4月末と平成26年3月末の月別自殺者数の比較 (単位:人) −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− H26年4月<北海道 100人、全国 2,203人、全国(男性) 1,486人、全国(女性) 717人> H26年3月<北海道 104人、全国 2,287人、全国(男性) 1,549人、全国(女性) 738人> 先 月 比<北海道 -4人、全国 -84人、全国(男性) -63人、全国(女性) -21人> −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 平成26年4月の自殺者数は、前月比では北海道・全国・全国男性・全国女性の全てにおい て減少しました。また、都道府県別では、自殺者数が増加したのは18、減少したのは26、 変化なしは3でした。 2. 平成26年4月末と平成25年4月末の月別自殺者数の比較 (単位:人) −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− H26年4月<北海道 100人、全国 2,203人、全国(男性) 1,486人、全国(女性) 717人> H25年4月<北海道 96人、全国 2,383人、全国(男性) 1,706人、全国(女性) 677人> 前 年 比<北海道 + 4人、全国 - 180人、全国(男性) - 220人、全国(女性) + 40人> −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 前年同月比では北海道・全国女性において増加、全国・全国男性において減少しました。 また、都道府県別でみると、自殺者数が増加したのは20、減少したのは26、増減なしは1 でした。 ◇平成25年職業別自殺者数(確定値)[警察庁発表]◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇ 警察庁公表の『平成25年中における自殺の状況』、及び内閣府『地域における自殺の基礎 資料』より、平成25年の全国、都道府県別職業別自殺者数(確定値)が発表されました。 以下、()内は前年比です。 平成25年全国の職業別自殺者数は、「自営業・家族従事者」が2,129人(-170)、「被雇 用者・勤め人」が7,272人(-149)、「学生・生徒等」が918人(-53)、「無職者」が 16,465人(-186)、「不詳」が499人(-17)となっています。また、「無職者」の内訳は 「主婦」が1,914人(-54)、失業者が1,217人(-187)、「年金・雇用保険等生活者」が 6,551人(+316)、「その他の無職者」が6,783人(-261)となっています。なお、有職者 の自殺者数は9,401人(-319)、学生を含む無職者の自殺者数は17,383人(-239)となっ ており、無職者が全体の64%を占めています。 平成25年北海道の職業別自殺者数は、「自営業・家族従事者」が110人(-3)、「被雇用 者・勤め人」が375人(+11)、「学生・生徒等」が41人(-11)、「無職者」が705人 (-44)、「不詳」が15人(-3)となっています。また、「無職者」の内訳は、「主婦」 が89人(+9)、失業者が61人(-20)、「年金・雇用保険等生活者」が284人(+6)、「そ の他の無職者」が271人(-39)となっています。なお、有職者の自殺者数は485人 (-8)、学生を含む無職者の自殺者数は746人(-55)となっており、無職者が全体の60% を占めています。 例年と同様、全国・北海道ともに「無職者」の自殺が最も多く、次いで「被雇用者・勤め 人」、「自営業・家族従事者」となっています。また、「無職者」の中でも、「年金・雇 用保険等生活者」が最も多く、全体の約23%がこれに当たります。 全国・北海道ともに多くの職業で自殺者数が減少している中、「年金・雇用保険等 生活者」のみが全国・北海道ともに増加しています。また、北海道のみ「被雇用者・勤め 人」・「主婦」が増加しています。 今後は、少しずつ減少してきているものの、依然として多い無職者の自殺対策に力をいれ ていくことが望まれます。また、「年金・雇用保険等生活者」の多くが高齢者であること から、高齢者の自殺にもより注意を向けていく必要があるかもしれません。 ******************************************************************************** 【2】自殺対策について知ろう ◇インターネット上の自殺予告事案への対応◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇ 現在、日本の自殺問題においてインターネットへの対応は切っても切り離せないものにな っています。一例として、いわゆる「ネット自殺」が挙げられます。ネット自殺とは、 上田(2005)によると、「この自殺の特徴は、自殺に至るまでの経緯の出発点としてWeb サイトを利用すること、自殺者がインターネット利用者の多い若年者であること、そして 見知らぬ者同士の複数同時自殺となっていることである。」とあります。上田(2005)の 新聞調査によると、平成12年11月の事例に始まり、平成17年2月10日までの間に計40例が 見いだされたと報告されています。また、平成15年2月に起きた事例がマスコミメディア により大きく取り上げられ、具体的な経緯・手段について多くの人が知るところになり、 それ以降連鎖的にネット自殺が生じることになったとも述べられています。 このようなインターネットを利用した自殺への対策の一つとして、平成17年10月に電気通 信関連団体により『インターネット上の自殺予告事案への対応に関するガイドライン』が 策定されています。同ガイドラインによると、「自殺予告事案への対応は、一般的に、電 子掲示板において自殺予告の書き込みを発見した者や自殺予告を内容とする電子メールを 受信した者からの110番通報が契機となるところ、通報を受けた警察において自殺を防止 するため当該書き込みをした者又は当該電子メールを送信した者の氏名、住所その他の当 該者を特定するに足りる情報を入手することが必要な場合がある。このような場合、警察 は、電子掲示板の管理人やインターネット接続サービスに係るアクセスプロバイダに対し て、任意で、自殺予告の書き込みや自殺予告を内容とする電子メールに係る発信者の情報 の開示を求めることとなる。」となっています。 同ガイドラインを踏まえ、都道府県警察においてプロバイダ等と連携した対応を実施し、 自殺防止の措置を講じています。対応状況は平成21年223件228人、平成22年280件288人、 平成23年329件333人、平成24年229件232人、平成25年243件254人でした。そのうち 平成25年では「自殺により死亡」が2人(1%)、「自殺を図ったが、救護等により存命」 が7人(3%)、「自殺のおそれあり(説諭等実施)」が84名(33%)、「自殺のおそれなし (いたずら等)」が128人(50%)、「書込者が判明せず」が33人(13%)でした。つまり 全体の約37%がいたずらではなく、自殺既遂、あるいは危機に瀕していたといえます。ま た、平成25年の認知の端緒は、「本人」は16件(7%)、「一般」は131件(54%)、「サイ ト管理者」は65件(27%)、「インターネット・ホットラインセンター」は3件(1%)、 「その他」は28件(12%)でした。 『平成25年版自殺対策白書』によると、インターネット上の自殺予告事案への対応につい て、「総務省では、プロバイダの迅速・的確な対応が可能となるようこれらのガイドライ ンの適切な運用の支援を行っています。さらに、違法・有害情報に関する相談業務等を行 う、違法・有害情報相談センターを設置しています。また、インターネットフィルタリン グの普及も重要視し、平成21年4月から施行された青少年インターネット環境整備法に基 づき、更にフィルタリングの導入促進に取り組んで行くこととしています。特に、近年の 話題であるスマートフォンにおけるフィルタリングのあり方及び必要性等、青少年が安全 に安心してインターネットを利用できる環境の整備に関する提言を取りまとめています。 そして、今後も引き続き自殺関連情報等の違法・有害情報対策を進めていく」と締めてい ます。 参考文献 警察庁 『インターネット上の自殺予告事案への対応状況について』 内閣府 『平成25年度版自殺対策白書』 平成16年度厚生労働科研究費補助金厚生労働科学特別研究事業 上田茂 『Webサイトを 介しての複数同時自殺の実態と予防に関する研究』 電気通信事業者協会・テレコムサービス協会・日本インターネットプロバイダー協会・日 本ケーブルテレビ連盟 『インターネット上の自殺予告事案への対応に関するガイドライ ン』 ******************************************************************************** 【3】お知らせ ◇ 精神保健福祉センターでは、こころの電話相談を次の時間帯で受け付けています。 月曜日から金曜日 9:00〜21:00 土曜日曜祝日(12月29日〜1月3日を除く) 10:00〜16:00 Tel:0570-064-556 ※ご相談の電話が集中しますと、つながりづらい状態になりますがご了承ください。 ◇ HP・携帯版HPをご覧ください 北海道地域自殺予防情報センターのHPを開設しています。最新の北海道の状況を掲載して おり、より情報を見やすく、分かりやすくお伝えできるよう心がけています。ぜひご覧く ださい。 パソコンHP URL:http://www.pref.hokkaido.lg.jp/hf/sfc/jisatutaisaku.htm また、携帯電話で見ることができる携帯版HPも開設しています。警察庁および北海道警察 から公表された統計資料をもとに、北海道における自殺の状況を掲載しています。こちら も併せてご覧ください。 携帯HP URL:http://www.pref.hokkaido.lg.jp/hf/sfc/i/joukyou.htm ******************************************************************************** 【4】編集後記 北海道でもすっかりと雪は溶け、桜も散り、色鮮やかだった木々も落ち着いた緑へと移り 変わりました。この時期は冬と春の間で気温の変動の大きく、花粉症もあり、何かと体調 に気を使う時期でもあります。皆様も体調を崩されないようご自愛ください。 いつもご愛読ありがとうございます。 次号Vol.60は、2014年6月末に配信予定です。 *お問い合わせ先* 北海道立精神保健福祉センター 札幌市白石区本通16丁目北6番34号 Tel 011-864-7121 Fax 011-864-9546 URL http://www.pref.hokkaido.lg.jp/hf/sfc/ Mail hofuku.seishin1@pref.hokkaido.lg.jp