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[北海道]                                H26.6.30
・゚・*:.。..。.:*・゜゚・*:.。..。.:*・゚* Andante **・゜゚・*:.。..。.:*・゚・*:.。  Vol.060
              〜北海道の自殺対策について〜

 Hokkaido                  発行:北海道地域自殺予防情報センター
 Government                 (北海道立精神保健福祉センター内)
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※『Andante:アンダンテ』とは
音楽用語で「ゆっくりと歩くくらいの速さで」という意味があります。他者に合わせるの
ではなく、「自分なりのペースで歩いていきましょう」という意味が込められています。
北海道地域自殺予防情報センターでは、皆さんと共に歩いていけるような「Andante」を
配信していきたいと考えています。
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− 目 次 −
【1】 北海道における自殺の現状
◇ 平成26年5月末の自殺者数(暫定値)[警察庁発表]
◇ 過去5年間の北海道の自殺者数の推移[警察庁発表]
【2】 自殺対策について知ろう
◇ 自殺のサインと危険因子について
【3】 お知らせ
◇ こころの電話相談
◇ HP及び携帯HPをご覧ください
【4】 編集後記

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【1】北海道における自殺の現状

◇平成26年5月末の自殺者数(暫定値)[警察庁発表]◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
警察庁より平成26年5月末の月別自殺者数の暫定値が発表されました。
平成26年5月の北海道の自殺者数は83人でした。また、全国の自殺者数は2,255人、そのう
ち男性は1,563人、女性は692人でした。
以下に、北海道および全国の前月比と前年同月比の自殺者数を示します。

1. 平成26年5月末と平成26年4月末の月別自殺者数の比較 (単位:人)
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
H26年 5月<北海道 83人、全国 2,255人、全国(男性) 1,563人、全国(女性) 692人>
H26年 4月<北海道 100人、全国 2,211人、全国(男性) 1,493人、全国(女性) 718人>
前 月 比 <北海道 -17人、全国 +44人、全国(男性) +70人、全国(女性) -26人>
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平成26年5月の自殺者数は、前月比では全国・全国男性において増加、北海道・全国女性
において減少しました。また、自殺者数が増加したのは24、減少したのは20、増減なしは
3でした。

2. 平成26年5月末と平成25年5月末の月別自殺者数の比較 (単位:人)
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
H26年 5月<北海道 83人、全国 2,255人、全国(男性) 1,563人、全国(女性) 692人>
H25年 5月<北海道 126人、全国 2,542人、全国(男性) 1,748人、全国(女性) 794人>
前 年 比 <北海道 -43人、全国 -287人、全国(男性) -185人、全国(女性) -102人>
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
前年同月比においては北海道、全国、全国男性、全国女性のいずれも減少となりました。
また、都道府県別でみると、自殺者数が増加したのは9、減少したのは38、増減なしは0で
した。

◇過去5年間の北海道の自殺者数の推移[警察庁発表]◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
内閣府が公表している「地域における自殺の基礎資料(確定値)」より、過去5年分の北
海道の自殺者数と自殺死亡率の推移を報告します。( )内は前年からの増減です。

      総数(人)  自殺死亡率(%)  男性(人) 女性(人)
平成21年  1,599     28.84         1,117     482
平成22年  1,533(-66)   27.77             1,074      459
平成23年  1,437(-96)   26.13         984        453
平成24年  1,296(-141)  23.67         916        380
平成25年  1,246(-50)   22.80         866        380

過去5年間、北海道での自殺者数は減り続け、平成21年には1,599人だった自殺者数が、平
成25年の時点で1,246人になっています。平均すると、毎年88人程度、自殺者数が減少し
続けている計算になります。
男性の自殺者数に注目すると、平成23年以降1,000人を下回る状況が続いています。 特に
50代男性の自殺者数の減少が目立ち、平成21年は286人だった自殺者は、平成25年には159
人になっています。女性の自殺者数に関しては、どの年代も増減を繰り返しながら今のと
ころは減少傾向にあるようです。自殺死亡率も毎年減少しています。

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【2】自殺対策について知ろう

◇自殺のサインと危険因子について◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

「本当に自殺する人は死にたいなんて言わずに死ぬ」「死にたいというのは甘え、かまっ
て欲しいだけ」「自殺未遂者は本気で死ぬつもりではなかった」。
このような言葉を皆さんも聞いたことがあるのではないでしょうか。しかし自殺で亡くな
った方が死をほのめかす発言を含め、亡くなる前に様々な言動で「自殺のサイン」を出し
ていたことがこれまでの調査で分かっています。

(1)具体的なサインの例 (「平成22年度 自殺対策プログラム報告書」 北海道精神
保健福祉センター 平成23年 より)

・突然涙ぐんだり、怒りだしたり、感情が不安定になる。
・それまでの抑うつ状態から不自然なほど明るくなり、周囲からのサポートを拒否
する。
・病気治療をやめるなど、投げやりな態度をとる。
・好きなことに対して興味を失う。
・職場を休みがちになる。
・注意力が散漫になる。
・人との交際を嫌い、ひきこもりがちになる。
・過度に危険な行為を繰り返し、事故を起こしやすくする。
・食欲がなくなる、不眠がちになる。
・飲酒量が増える、薬物を乱用する。
・大切なものを人にあげたり、日記や手紙などを処分したりする。
・「自分なんていないほうがいい」「遠くに行ってしまいたい」など自殺をほのめ
かす言葉を口にする。
・「死にたい」など自殺についてはっきりと口にする。
・自殺の計画を立てる。
・自傷行為に及ぶ。

これらのサインを示す人が必ず自殺をするというわけではもちろんありません。ですが自
殺の確率を上昇させる要素である「自殺の危険因子」を同時に多く持つ人に自殺のサイン
が見られると、自殺のリスクが高いと言えるでしょう。

(2)自殺の危険因子(「ゲートキーパー養成研修用テキスト」内閣府 平成24年 より)

・過去の自殺企図・自傷歴、喪失体験(身近な者との死別体験)
・苦痛な体験(いじめ、家庭問題)
・職業問題・経済問題・生活問題(失業、リストラ、多重債務、生活苦、生活への
困難感、不安定な日常生活、生活上のストレス)
・精神疾患、身体疾患の羅患およびそれらに対する悩み(うつ病など精神疾患や、
身体疾患での病苦)
・ソーシャルサポートの欠如(支援者がいない、社会制度が活用できない)
・自殺企図手段への容易なアクセス(危険な手段を手にしている、危険な行動に及
びやすい環境がある)
・自殺につながりやすい心理状態(自殺念慮、絶望感、衝動性、孤立感、悲観、諦
め、不信感)
・望ましくない対処行動(飲酒で紛らわす、薬物を乱用する)
・危険行動(道路に飛び出す、飛び降りようとする、自暴自棄な行動をとる)
・その他(自殺の家族歴、本人・家族・周囲から確認される危険性)

重大な自殺の危険因子とされる「自殺未遂歴」について具体的に見てみましょう。内閣府
の「平成26年度版自殺対策白書」(平成26年6月)によると、平成25年度の自殺者の中で
自殺未遂歴が「あり」の者の割合は、男性で約15%、女性で約31%となっています。特に
女性の20歳代では約49%の者で自殺未遂歴が「あり」と、ほぼ半数の自殺者が過去に自
殺未遂をしていたことが分かっています。さらに10歳代から50歳代の女性において自殺者
の自殺未遂歴の割合が30%を超え、男性においても、30歳代で約20%となっています。

(3)おわりに

内閣府の全国20歳以上の者を対象とした調査「自殺対策に関する意識調査」(平成20年 2
月)によると、「今までに本気で自殺したいと思ったことがある」者のうち、「自殺を考
えた時、誰に相談したか」という質問に、約33%の人が「相談したことがある」と答え、
その相談相手は専門家よりも友人・同居の親族(家族)・同居の親族(家族)以外の親族
が圧倒的に多いことが分かっています。 「死にたい」という相談を受けたときの対応と
して、Andante vol.47にて『TALKの原則』を紹介しています。まずは、その言葉を信じる
こと、真剣に受け止めることが大切です。
また、自殺実態白書 2013(平成25年)の自死遺族への調査によると、「自殺のサインが
あった思うか」との問いに58%の人が「あったと思う」と答えているものの、「それが発
せられた時点でもそれを自殺のサインだと思ったか」との問いには遺族の10%しか「思っ
た」と答えていません。実際、自殺のサインは曖昧な場合も多く、それが発せられた時点
ではサインとして受け止められないことが多いのです。だからこそ、上記の危険因子や自
殺のサインなど、自殺に関する正しい知識を身につけることが私たちの身近な人を自殺か
ら遠ざける可能性を高めるのではないでしょうか。

参考資料
平成26年度版自殺対策白書 内閣府 2014
内閣府の資料「自殺対策に関する意識調査」 2008
自殺実態白書2013 NPO法人ライフリンク 2013

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【3】お知らせ

◇ 精神保健福祉センターでは、こころの電話相談を次の時間帯で受け付けています。
    月曜日から金曜日               9:00〜21:00
    土曜日曜祝日(12月29日〜1月3日を除く)     10:00〜16:00
                          Tel:0570-064-556
※ご相談の電話が集中しますと、つながりづらい状態になりますがご了承ください。

◇ HP・携帯版HPをご覧ください
北海道地域自殺予防情報センターのHPを開設しています。最新の北海道の状況を掲載して
おり、より情報を見やすく、分かりやすくお伝えできるよう心がけています。ぜひご覧く
ださい。
パソコンHP  URL:http://www.pref.hokkaido.lg.jp/hf/sfc/jisatutaisaku.htm

また、携帯電話で見ることができる携帯版HPも開設しています。警察庁および北海道警察
から公表された統計資料をもとに、北海道における自殺の状況を掲載しています。こちら
も併せてご覧ください。
携帯HP  URL:http://www.pref.hokkaido.lg.jp/hf/sfc/i/joukyou.htm

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【4】編集後記

急激に訪れた真夏日でスタートした6月、皆様はどのようにお過ごしでしょうか。
暑い日があると思えば、肌寒く雨続きの日が続く、目まぐるしいお天気の6月でしたが、
進学や転勤、就職や引っ越しなどの新年度の慌ただしさは少し落ち着いてくる頃かと思い
ます。皆様には環境の変化で溜まったストレスを、さわやかな夏の日差しや新緑に触れて
リセットしていただけたらと思います。ぜひお忙しい中でも、そういった「リラックス」
になるものを探してみてくださいね。

次号Vol.61は、2014年7月末に配信予定です。

                                                        *お問い合わせ先* 
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                                    URL  http://www.pref.hokkaido.lg.jp/hf/sfc/
                                    Mail   hofuku.seishin1@pref.hokkaido.lg.jp