=============================================================================== [北海道] H29.5.31 ・゚・*:.。..。.:*・゜゚・*:.。..。.:*・゚* Andante **・゜゚・*:.。..。.:*・゚・*:.。 Vol.095 〜北海道の自殺対策について〜 Hokkaido 発行:北海道地域自殺対策推進センター Government (北海道立精神保健福祉センター内) =============================================================================== ******************************************************************************** ※『Andante:アンダンテ』とは 「ゆっくりと歩くくらいの速さで」という意味の音楽用語です。ゆっくりと自分にとって 適度なスピードで歩いているとき、私達の視野はいつもよりぐっと広がり、忙しく過ごす 中では見過ごしがちなものに気が付くことがあります。北海道地域自殺対策推進センター では、皆さんと共に歩いていけるような「Andante」を配信していきたいと考えています 。 -------------------------------------------------------------------------------- − 目 次 − 【1】 北海道における自殺の現状 ◇ 平成29年4月末の自殺者数(暫定値)[警察庁発表] ◇ 平成28年中の年齢別自殺者数(確定値)[警察庁発表] 【2】 自殺について知ろう ◇ 「平成28年度自殺対策に関する意識調査」(厚生労働省) 【3】 お知らせ ◇ こころの電話相談 ◇ HP及び携帯HPをご覧ください 【4】 編集後記 -------------------------------------------------------------------------------- ******************************************************************************** 【1】北海道における自殺の現状 ◇平成29年4月末の自殺者数(暫定値)[警察庁]◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇ 警察庁より平成29年4月末の月別自殺者数の暫定値が発表されました。 平成29年4月の北海道の自殺者数は77人でした。また、全国の自殺者数は1,885人、 そのうち男性は1,296人、女性は589人でした。 以下に、北海道および全国の前月比と前年同月比の自殺者数を示します。 1.平成29年4月末と平成29年3月末の月別自殺者数の比較 (単位:人) −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 北海道 全国 全国(男性) 全国(女性) H29年4月 77 1,885 1,296 589 H29年3月 86 1,862 1,278 584 前 月 比 -9 +23 +18 +5 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 平成29年4月の自殺者数は、前月比で北海道・全国男性・全国女性において増加、北海道 において減少でした。 都道府県別では、自殺者数が増加したのは21、減少したのは24、変化なしは2でした。 2. 平成29年4月末と平成28年4月末の月別自殺者数の比較 (単位:人) −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 北海道 全国 全国(男性) 全国(女性) H29年4月 77 1,885 1,296 589 H28年4月 99 1,880 1,297 583 前 年 比 -22 +5 -1 +6 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 前年同月比では、全国・全国女性において増加、北海道・全国男性において減少でした。 また、都道府県別でみると、自殺者数が増加したのは21、減少したのは25、増減なしは1 でした。 ◇平成28年中の自殺者数(確定値)[警察庁]◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇ 今月は先月に引き続き警察庁『平成28年中における自殺の概況』(確定値)、および厚生 労働省「地域における自殺の基礎資料」(発見日・発見地集計)より北海道における男女 別年齢階級別自殺者数をまとめます。表中()内は前年比です。 1. 北海道における平成28年中の年齢別自殺者数、および前年比(単位:人) −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 北海道総数〈総数1,004人(-12%)、男性714人(-7%)、 女性290人(-24%)〉 19歳以下 〈総数 21人(-38%)、 男性 16人(-45%)、女性 5人(0%)〉 20~29歳 〈総数 113人(-3%)、 男性 81人(+5%)、 女性 32人(-20%)〉 30~39歳 〈総数 132人(-11%)、男性 101人(-11%)、女性 31人(-14%)〉 40~49歳 〈総数 171人(-14%)、男性 136人(+1%)、女性 35人(-44%)〉 50~59歳 〈総数 175人(-2%)、 男性 130人(+7%)、女性 45人(-21%)〉 60~69歳 〈総数 153人(-12%)、男性 111人(-8%)、女性 42人(-21%)〉 70~79歳 〈総数 129人(-18%)、男性 84人(-7%)、 女性 45人(-34%)〉 80歳以上 〈総数 104人(-23%)、男性 49人(-36%)、女性 55人(-5%)〉 不詳 〈総数 6人(+50%)、 男性 6人(+50%)、 女性 0人(−)〉 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 北海道における平成28年中の自殺者数は1,004人でした。そのうち男性は714人、女性は29 0人でした。平成27年と比べ143人の減少でした。 年齢階級別にみると、不詳を除くと、前年に比べ全年齢階級において減少していますが、 男女別では20~29歳男性、50~59歳男性において増加が見られました。 ******************************************************************************** 【2】自殺について知ろう ◇「平成28年度自殺対策に関する意識調査」(厚生労働省)◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇ 今回は厚生労働省自殺対策推進室発表の「平成28年度自殺対策に関する意識調査」につい てお伝えします。Andante vol.88においても自殺に関する意識調査を取り扱いましたが、 そちらは日本財団による調査で今回取り扱う調査とは別の調査になります。本調査は平成 20年度、平成23年度にも行われており3回目の調査となります。平成23年度調査について はAndante vol.39で取り扱っておりますので、興味のある方はそちらもご覧ください。 本調査は、自殺に対する国民の意識などの実態を把握し、今後の施策の参考とすることを 目的として行われました。 調査項目は、(1)自殺対策の現状等について、(2)悩みやストレスに関することについ て、(3)自殺やうつに関する意識について、(4)メディア(新聞・テレビ・ラジオなど の情報媒体)について、(5)今後の自殺対策について、でした。 調査時期は平成28年10月13日〜10月30日、20歳以上の日本国籍を持つ3,000人を対象、そ のうち有効回収数は2,019人でした。また調査は、調査員による留置法(封筒による密封 回収)で行われました。 今回はこの中からいくつかの設問を取り上げてご報告させて頂きたいと思います。 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− ・自殺者数の周知度 我が国の自殺者数は長い間、毎年3万人を超え、この数年は3万人を下回っているが、平成 27年においても、約2万4,000人の方が亡くなっている。毎年、多くの方が自殺で亡くなっ ていることを知っているか聞いたところ、「知っていた」と答えた者の割合は53.6%、「 知らなかった」と答えた者の割合は45.4%となっている。 ・「自殺対策基本法」について 「内容まで知っていた」と答えた者の割合は1.7%、「内容は知らなかったが、言葉は聞い たことがある」と答えた者の割合は19.8%、「知らなかった」と答えた者の割合は73.9%と なっている。 ・相談や助けを求めることへのためらい 悩みを抱えたときやストレスを感じた時に、誰かに相談したり、助けを求めたりすること にためらいを感じるか聞いたところ、「そう思う」と答えた者の割合は15.8、「どちらか というとそう思う」と答えた者の割合は31.1%、両者を合わせた「そう思う」と答えた者 の割合は46.9%となっている。一方、「そうは思わない」と答えた者の割合は31.5%、「ど ちらかというとそうは思わない」と答えた者の割合は15.5%、両者を合わせた『そうは思 わない』と答えた者の割合は46.9%となっている。前回調査と比較してみると、『そう思 う』と答えた者の割合は43.4%から46.9%、『そうは思わない』と答えた者の割合は51.0% から46.9%となっている。 性別に見ると、男性で『そう思う』と答えた者の割合が高く、女性で『そうは思わない』 と答えた者の割合が高くなっている。 「これまでの人生のなかで、本気で自殺したいと考えたこと」の経験の有無別に見ると、 そうした経験のある者で『そう思う』と答えた者の割合が高く、そうした経験のない者で 『そうは思わない』と答えた者の割合が高くなっている。 ・「自殺は、その多くが防ぐことのできる社会的な問題である」について 『そう思う』と答えた者の割合は64.3%、『そう思わない』と答えた者の割合は15.5%とな っている。 性・年齢別に見ると、男性の20歳代、40歳代『そう思わない』と答えた者の割合が高く、 60歳代で『そう思う』と答えた者の割合が高くなっている。 自殺したいと思った経験の有無別に見ると、そうした経験のある者で『そう思わない』と 答えた者の割合が高く、そうした経験のない者で『そう思う』と答えた者の割合が高くな っている ・自殺を考えた経験(この質問は、回答を負担に思う対象者がいることが想定されるため 、その場合は回答しなくても良い旨を伝えている) これまでの人生の中で、本気で自殺したいと考えたことがあるか聞いたところ、「自殺し たいと思ったことがない」と答えた者の割合は63.0、「自殺したいと思ったことがある」 と答えた者の割合は23.6%となっている。前回調査と比較して見ると、「自殺したいと思 ったことがない」と答えた者の割合は70.0%から63.0%、「自殺したいと思ったことがある 」と答えた者の割合は23.4%から23.6%になっている。 ・今までに本気で自殺したいと思ったことがあると答えた者の中で、最近1年以内に自殺 を考えた経験(この質問は、回答を負担に思う対象者がいることが想定されるため、その 場合は回答しなくても良い旨を伝えている) 今までに「自殺したいと思ったことがある」と答えた者(477人)に、最近1年以内に自殺 したいと思ったことがあるか聞いたところ、「はい」と答えた者の割合は18.9%、「いい え」と答えた者の割合は80.1%となっている。前回調査と比較して見ると、「はい」と答 えた者の割合は22.7%から18.9%、「いいえ」と答えた者の割合は75.8%から80.1%になって いる。 ・今後必要な自殺対策 今後求められるものとして、どのような自殺対策が必要になると思うか聞いたところ、「 子供の自殺予防」と答えた者の割合が59.9%と最も高くなっている。以下、「様々な悩み に対応した相談窓口の設置」(51.2%)、「職場におけるメンタルヘルス対策の推進」(4 7.2%)、「地域やコミュニティを通じた見守り・支え合い」(44.5%)、「適切な精神科 医療体制の整備」(39.2%)、「自殺の実態を明らかにする調査・分析」(34.4%)、「自 殺未遂者の支援」(27.5%)、「様々な分野におけるゲートキーパーの養成」(26.7%)、 「インターネットにおける自殺関連情報の対策」(25.0%)、「危険な場所、薬品等の規 制等」(21.4%)、「自殺対策に関わる民間団体の支援」(20.8%)、「自死遺族等の支援 」(17.6%)、「自殺に関する広報・啓発」(17.6%)、「その他」(5.4%)となっている 。 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 一般の方々への自殺の状況や自殺に関する方針などの基本的な情報の周知がまだ十分にな されていない印象を受けました。しかし、その一方で今後の自殺対策に求められているこ とは、子供や職場における自殺予防などより具体的な対策になっているように思います。 これは日々のいじめ自殺報道や昨年話題となった過労自殺の件が大きいようにも感じられ ました。また、大きなリスクファクターである自殺未遂者への支援や心理的な負担の大き い自死遺族等の支援の重要性は十分な周知がなされていないように思われます。 前回調査と比べ、ここ一年本気で自殺を考えた人の割合は減ってきているようですが、新 たな自殺大綱の策定とともに、より一層の自殺への対策が望まれます。 調査結果の詳細については以下の参考文献をご覧ください。 参考文献 厚生労働省(自殺対策推進室)、「平成28年度自殺対策に関する意識調査」 http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000155452.html ******************************************************************************** 【3】お知らせ ◇ 精神保健福祉センターでは、こころの電話相談を次の時間帯で行っています。 月曜から金曜日 9:00〜21:00 土曜日曜祝日(12月29日〜1月3日を除く) 10:00〜16:00 Tel:0570-064-556 ※ご相談の電話が集中しますと、つながりづらい状態になりますがご了承ください。 ◇ HP・携帯版HPをご覧ください 北海道地域自殺対策推進センターのHPを開設しています。最新の北海道の状況を掲載して おり、より情報を見やすく、分かりやすくお伝えできるよう心がけています。 パソコンHP URL:http://www.pref.hokkaido.lg.jp/hf/sfc/jisatutaisaku.htm また、携帯電話で見ることができる携帯版HPも開設しています。警察庁および北海道警察 から公表された統計資料をもとに、北海道における自殺の状況を掲載しています。こちら も併せてご覧ください。 携帯HP URL:http://www.pref.hokkaido.lg.jp/hf/sfc/i/joukyou.htm ******************************************************************************** 【4】編集後記 北海道も気温が暖かくなりいよいよ夏に向けての準備が始まった感じがします。 先日ニュースサイトで日本の自殺率について、世界第6位というニュースが流れていまし た。また先進7カ国ではロシアに次ぐ第2位となっており、日本の自殺は現在減少傾向にあ りますが、依然として予断を許さない状況でもあります。今月には例年発行されている自 殺対策白書が閣議決定されるともありましたので、近日中にまた新たな情報をお届けした いと思います。 いつもご愛読ありがとうございます。 次号Vol.96は、2017年6月末に配信予定です。 *お問い合わせ先* 北海道立精神保健福祉センター 札幌市白石区本通16丁目北6番34号 Tel 011-864-7121 Fax 011-864-9546 URL http://www.pref.hokkaido.lg.jp/hf/sfc/ Mail hofuku.seishin1@pref.hokkaido.lg.jp