===============================================================================
[北海道]                                H29.6.30
・゚・*:.。..。.:*・゜゚・*:.。..。.:*・゚* Andante **・゜゚・*:.。..。.:*・゚・*:.。  Vol.096

              〜北海道の自殺対策について〜

 Hokkaido                  発行:北海道地域自殺対策推進センター
 Government                 (北海道立精神保健福祉センター内)
 ===============================================================================



********************************************************************************


※『Andante:アンダンテ』とは
「ゆっくりと歩くくらいの速さで」という意味の音楽用語です。ゆっくりと自分にとって
適度なスピードで歩いているとき、私達の視野はいつもよりぐっと広がり、忙しく過ごす
中では見過ごしがちなものに気が付くことがあります。北海道地域自殺対策推進センター
では、皆さんと共に歩いていけるような「Andante」を配信していきたいと考えています
。
--------------------------------------------------------------------------------
− 目 次 −
【1】 北海道における自殺の現状
◇ 平成29年5月末の自殺者数(暫定値)[警察庁発表]
◇ 平成28年中の北海道における職業別自殺者数(確定値)[警察庁発表]
【2】 自殺について知ろう
◇ 本の紹介『うつヌケ』
【3】 お知らせ
◇ こころの電話相談
◇ HP及び携帯HPをご覧ください
【4】 編集後記
--------------------------------------------------------------------------------

********************************************************************************
【1】北海道における自殺の現状

◇平成29年5月末の自殺者数(暫定値)[警察庁]◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
警察庁より平成29年5月末の月別自殺者数の暫定値が発表されました。
平成29年5月の北海道の自殺者数は102人でした。また、全国の自殺者数は1,974人、
そのうち男性は1,358人、女性は616人でした。
以下に、北海道および全国の前月比と前年同月比の自殺者数を示します。

1.平成29年5月末と平成29年4月末の月別自殺者数の比較 (単位:人)
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
       北海道   全国    全国(男性)  全国(女性)
H29年5月   102    1,974    1,358      616
H29年4月   77     1,885    1,296      589
前  月  比   +25    +89     +62       +27
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
平成29年5月の自殺者数は、前月比で北海道、全国、全国男性、全国女性のすべてにおい
て増加しました。
都道府県別では、自殺者数が増加したのは23、減少したのは20、変化なしは4でした。

2. 平成29年5月末と平成28年5月末の月別自殺者数の比較 (単位:人)
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
       北海道   全国    全国(男性) 全国(女性)
H29年5月   102    1,974    1,358     616
H28年5月   83     2,065    1,430     635
前 年 比  +19    -91     -72      -19
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

前年同月比では、北海道のみ増加、全国、全国男性、全国女性は減少しました。
また、都道府県別でみると、自殺者数が増加したのは19、減少したのは25、増減なしは3
でした。

◇平成28年中の北海道における職業別自殺者数(確定値)[警察庁発表]◇◇◇◇◇◇◇◇
今月も先月に引き続き警察庁『平成28年中の自殺者数』(確定値)、および厚生労働省「
地域における自殺の基礎資料」(平成28年確定値)から、北海道における職業別自殺者数
をご報告します。

平成28年北海道の職業別自殺者数、前年比増減率、構成比  (単位:人、%)
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
               H28自殺者数 前年比増減率 H28構成比 H28全国構成比
自営業・家族従業者    82       -5.7       8.2      7.0
被雇用者・勤め人      293      -13.1      29.2     28.9
学生・生徒等       32       -15.8      3.2      3.6
主婦           63       -13.7      6.3      6.1
失業者          45       -4.3       4.5       4.1
年金・保険等生活者    239      -16.4       23.8     25.9
その他無職者       230      -12.9       22.9     22.7
不詳           19       +26.7       1.9     1.7
総数           1,004      -12.5     100.0     100.0
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

平成28年の北海道の自殺者数は、前年に比べ12.5%減少しました。このことを反映し、職
業別の内訳を見ても、職業不詳を除き多くの職業で10%以上自殺者が減りました。特に下
げ幅が大きかったのは年金・雇用保険等生活者(-16.4%)と学生・生徒等(-15.8%)でし
た。逆に下げ幅が小さかったのは失業者(-4.3%)でした。
北海道の自殺者の職業内訳の構成比を見ると、被雇用者・勤め人(29.2%)が最も多く、
次いで年金・雇用保険等生活者(23.8%)、その他無職者(22.9%)となっていますが、こ
の構成比は全国と比較して大差ない印象です。北海道、全国とも被雇用者の自殺が全体の
3割に迫る勢いであることから、職場のメンタルヘルス対策の推進の必要性を強く感じま
す。


********************************************************************************
【2】自殺について知ろう

◇本の紹介『うつヌケ』(田中圭一 著)◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
今回の「自殺について知ろう」では、『うつヌケ』という本をご紹介したいと思います。
本書は自殺そのものや自殺対策について論じた本ではありませんが、自殺に追い込まれる
大きな要因の一つとしてうつの問題があることは論を俟たないところです。本書はすでに
新聞その他でも取り上げられているのでご存じの方も多いとは思いますが、コミックなの
で大変読みやすく、取材に基づいたうつ当事者自身の生の言葉が綴られている点で実感を
とらえやすく、大変参考になると思いましたので、当欄でも取り上げさせていただきます
。
まず、本書の表紙は薄いピンク色で目と心に優しい印象を与えます。加えて絵が懐かしの
手塚治虫風(というか、手塚治虫氏の絵と見分けがつかないほどそっくりで、マンガの神
様へのリスペクトが感じられます)で、柔らかい曲線的な表現を基調としています。また
、著者自身にわらわらと襲いかかるうつの気分を表す小さな生命体?も手塚治虫氏の特徴
的キャラクター・ヒョウタンツギを連想させます(ヒョウタンツギよりずっとかわいく優
しい印象ですが)。
内容は、うつから回復した当事者である著者自身の体験と、うつを体験しうつから脱出し
た人に取材した話が描かれています。著者自身が10年もの間うつに罹患し、自殺を決行す
る日まで心に決めていたほど苦しみ続けていたにもかかわらず、どのようにしてうつから
回復できたかを、丁寧に説明しています。当メルマガ編集者は、過去にうつ病の方から「
もう10年も治らないんですから、一生治らないですよね」と言われ、どう返事したらよい
か困った経験がありますが、本書を読んだ今では、このように言われても「大丈夫、きっ
と治せますよ」と答えてあげられると思いました。
著者がインタビューした人は17人に及び、その中には著名ミュージシャン、精神科医、哲
学者、作家、エッセイスト、脚本家なども含まれています。もちろん市井のごく普通の人
々も多く登場します。つまり、性別、職業、有名無名に関係なく、だれでもうつの前では
平等なのだと今更ながら気づかされます。中には、うつ10年どころか15年まだ継続中(で
も大丈夫)とか、縊首したけれども生還し現在は幸せ、という方もいます。誰もが持つう
つのスイッチを自分でどうコントロールしていくか、各人各様のやり方が描かれていて参
考になります。
本書を読んで関心を持った方は、さらに著者自身がうつを脱出するきっかけとなった本と
して本書内で紹介している『自分の「うつ」を治した精神科医の方法』(宮島賢也著)も
併せて読むとおもしろいと思います。こちらの著者は薬を使わずにうつを治す精神科医と
して、患者をうつ脱出につながる考え方へ導く具体的な問いかけの言葉などとともに、心
身ともに全体として健康になるための食事療法についても書いていて、興味深く読めまし
た。
こうした本を参考にして、うつを客観視して、死にたくなる気持ちに飲み込まれないよう
にできるとよいのではないかと思います。


********************************************************************************
【3】お知らせ

◇ 精神保健福祉センターでは、こころの電話相談を次の時間帯で行っています。
月曜から金曜日                    9:00〜21:00
土曜日曜祝日(12月29日〜1月3日を除く)   10:00〜16:00
Tel:0570-064-556
※ご相談の電話が集中しますと、つながりづらい状態になりますがご了承ください。

◇ HP・携帯版HPをご覧ください
北海道地域自殺対策推進センターのHPを開設しています。最新の北海道の状況を掲載して
おり、より情報を見やすく、分かりやすくお伝えできるよう心がけています。
パソコンHP  URL:http://www.pref.hokkaido.lg.jp/hf/sfc/jisatutaisaku.htm

また、携帯電話で見ることができる携帯版HPも開設しています。警察庁および北海道警察
から公表された統計資料をもとに、北海道における自殺の状況を掲載しています。こちら
も併せてご覧ください。
携帯HP  URL:http://www.pref.hokkaido.lg.jp/hf/sfc/i/joukyou.htm

********************************************************************************
【4】編集後記

皆様こんにちは。
6月の札幌はよさこいソーラン祭り、北海道神宮祭と、まるでお祭り天国の様相でした。
きっとこれらのお祭りを見るだけではなくて実際に参加した方も多くいらっしゃるのでは
ないでしょうか。しかし、今年の6月は今ひとつ気候が安定せず、雨の中でお祭り見物し
た方もいらっしゃったことでしょう。お風邪など召さなかったでしょうか。体調を整えて
これから始まる北海道の短い夏を楽しみたいと思います。

いつもご愛読ありがとうございます。

次号Vol.97は、2017年7月末に配信予定です。


                                                        *お問い合わせ先* 
                                                北海道立精神保健福祉センター
                                               札幌市白石区本通16丁目北6番34号
                                                              Tel 011-864-7121
                                                              Fax 011-864-9546
                                    URL  http://www.pref.hokkaido.lg.jp/hf/sfc/
                                    Mail   hofuku.seishin1@pref.hokkaido.lg.jp