北海道デジタル図鑑
データベース検索 情報の小径 50音インデックス サイトマップ ヘルプ ホーム

自然歴史伝統・文化観光・スポーツ
本サイトのご利用にあたって
100の物語[歴史] 黒曜石

古代狩人の道具、黒曜石
 北海道に人が住みはじめたのは、約2万年前、最後の氷河時代のことです。このころ、寒さが厳しくなったため、シベリアに生息していたトナカイやバイソン、オオツノシカなどの動物群は、南へ移動しはじめました。そして、これらの動物群を食料としていた人びとも、その後を追って南下してきました。
 北海道にはじめての痕跡を残した人びとは、おそらくこの「最古の狩人」たちです。彼らは旧石器時代に属し、黒曜石(こくようせき)で作られた石器を狩猟や生活の道具としました。
黒曜石の石器
■黒曜石の石器(*1)
黒曜石の原産地・遠軽町白滝から出土した尖頭器(せんとうき)。ヤリの先につけて狩猟に使ったと考えられている。
白滝黒曜石
関連するデータベース
気候が緩やかに温暖化する/旧石器時代の遺跡
 北海道最古の遺跡は、千歳市祝梅三角山遺跡や上士幌町の嶋木遺跡などで、約2万年前の旧石器文化のものと考えられています。このあと、氷期が過ぎた1万7千年前くらいから、気候はゆるやかに温暖化してゆきました。
 北海道には、この時代の遺跡が数多く分布しています。旧石器時代の遺跡は全道的に分布していますが、石器の材料となる黒曜石や頁岩(けつがん)の産出地と、そこを流れる川の流域でとくに多く見ることができます。おもな場所は、遠軽町白滝、黒松内町樽岸、赤井川村、蘭越町立川、興部町札滑などです。
千歳市祝梅三角山遺跡のナイフ形石器
■千歳市祝梅三角山遺跡のナイフ形石器
旧石器文化初期の石器。(写真提供:北海道開拓記念館)
「黒曜石の道」があった/白滝村(現:遠軽町白滝)の生産基地
 黒曜石は、軽い打撃によって鋭利な刃が作れるため、旧石器時代から石器の素材として広く利用されてきました。黒曜石の原産地としてとくに有名なのは、道東の白滝村です。
 白滝村の遺跡からは、大量の細石刃や楔(くさび)形細石刃核などが見つかっており、石器の原料供給地であり、製作地であったと推定されています。おそらく、すぐれた技術者集団がいて、石材の採掘・運搬・製作・移出が分業によって行われたのでしょう。
 白滝産の黒曜石は、道内各地の遺跡のみならず、サハリンの遺跡からも出土しています。「黒曜石の道」ともいうべきネットワークによって、これらの石器は遠くまで運ばれていったのです。
「黒曜石の道」
■「黒曜石の道」
白滝産の黒曜石を使った石器は、道内各地から出土している。さらに遠くサハリンや大陸までも運ばれていることがわかっている。(参考:「黒曜石物語」/遠軽町教育委員会)

黒曜石の露頭
■黒曜石の露頭
現在も、白滝村の赤石山などに見ることができる。(写真提供:遠軽町)
黒曜石の誕生
■黒曜石の誕生
黒曜石は、火山のマグマが急激に冷えてできるガラス質の火山岩。天然ガラスともいわれ、鋭い破片に割れて加工しやすい。(参考:「黒曜石物語」/遠軽町教育委員会)
旧石器時代の技術革新/石刃とさい石刃 
 旧石器時代の最大の技術革新といわれるのは、「石刃技法」です。これは、黒曜石の塊をあらかじめ割れやすい角度の多面体に整形し、両刃の細長い形の「石刃」を連続的に作り出す手法です。これにより一個の石から無駄なく、すぐれた石器を作り出せるようになりました。
 また、この時代の北海道の遺跡では、「細石刃」とよばれる石器が多数出土しています。細石刃とは、小さな剥片の石刃で、それ自体を使用するのではなく、動物の骨や木の棒などの側縁に溝を掘り、そこに埋め込んで、大きな刃物として使用するものです。この石器には、切れ味が悪くなったり、刃が欠けたりすると、刃を交換できるという利点があったため、広く普及したものと思われます。

大量につくられた石器
■大量につくられた石器
帯広の暁遺跡から石器が大量に出土した。なかでも細石刃は8千点以上見つかっている。(写真提供:帯広百年記念館)
細石刃の使いかた
■細石刃の使いかた
復元された道具。木などの柄にいくつも細石刃を装着して使っていた。(遠軽町先史資料館蔵/写真提供:インテリジェント・リンク)

石刃核(せきじんかく)
■石刃核(せきじんかく)(*2)
あらかじめ整形された石刃の素材。石の割り方は、地域によって少しずつ違っていた。
関連リンク
*写真提供:財団法人北海道埋蔵文化財センター
*1、2 白滝村奥白滝1遺跡出土先頭器および上白滝8遺跡出土石刃核(『白滝遺跡群を掘る』1・3所収より転載)
画像および文章の無断使用・複製・再配布を禁じます。


参考文献一覧画像提供元一覧情報の小径50音INDEXページのトップへホーム